耐放射線特性の高電圧大電流ドライバIC:ルネサス ISL72814SEH
ルネサス エレクトロニクスは、宇宙衛星用耐放射線パッケージの16チャンネルカレントドライバ「ISL72814SEH」を発売した。デコーダー、入力レベルシフタ、16のカレントドライバアレイを1つのモノリシックICに集積している。
ルネサス エレクトロニクスは2019年5月、宇宙衛星用耐放射線パッケージの16チャネルカレントドライバ「ISL72814SEH」の出荷を開始した。28リードセラミックフラットパックパッケージで提供され、評価用ボードも販売している。
衛星コマンド、テレメトリーシステムのサイズ、重量、消費電力を低減
ISL72814SEHは、デコーダー、入力レベルシフター、16のカレントドライバアレイを1つのモノリシックICに集積する。衛星コマンドおよびテレメトリーシステムの中軌道、静止軌道、高軌道、深宇宙用システムの性能を向上しつつ、サイズ、重量、消費電力を大幅に低減できる高電圧大電流ドライバだ。
重イオン環境下におけるシングルイベント効果を軽減するため、同社独自のシリコンオンインシュレータプロセスを用いている。ドライバに内蔵されたデコーダーは、インタフェースでFPGAの多用途I/Oと衛星のフライトコンピュータのマイクロプロセッサに直接接続できる。
16チャンネル対応のため、通信衛星のペイロード内のRFスイッチの使用個数が削減可能だ。RFスイッチに750ミリ秒で28V/500mAパルスを、指定したインターネットラジオ局やテレビチャンネルにルーティングできる。
また、推進システムのスラスターのオン/オフなどに使われるソレノイドとリレーを、50m〜600mAのラッチパルスを持つ12〜30Vの出力で制御できる。さらに、1チャンネル当たりのVCE電力消費が低く、レベルシフタを統合したことで、周辺部品を削減できる。内蔵のクランプダイオードにより、誘導性負荷によるサージ発生時にも保護回路を外部に追加する必要がない。
16チャンネルのコレクタ接地オープンエミッタPNPドライバ出力は、それぞれ最大42V、700mAのパルスを生成可能で、飽和電圧は500mAで1.35V、動作電圧は3〜13.2Vだ。
DLA SMD 5962-18221に準拠した電気的特性を保証し、高線量では100krad(Si)、低線量では75krad(Si)までの線量に対してウエハー合格検査済みだ。
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