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アルミ電解コンデンサー(2)―― 箔の様子中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(35)(3/3 ページ)

今回はアルミ電解コンデンサーのキーパーツの1つである箔(はく)の様子について詳しく説明していきます。

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2.陽極酸化(化成)

 エッチングされた箔のピット表面に誘電体としての酸化アルミ(Al2O3)皮膜を形成する工程を化成工程と言います。いわゆるアルマイト処理の一種ですが化成処理は耐圧が必要な陽極箔にのみ行い、耐圧の必要がない陰極箔には行いません。
 この工程において化成電圧を調整することで酸化アルミ皮膜の厚さ(すなわち耐電圧)と静電容量を使用目的に合わせて変えることができます。この性質は他のコンデンサーにみられないアルミ電解コンデンサー特有の特長です。

酸化膜の厚み制限

 図4に酸化膜のイメージを示します。静電容量は電解液に接する酸化膜の表面積に左右されますのでせっかくエッチングで図4(a)のように表面積を拡大しても図4(b)のように厚い酸化膜でピットを埋めてしまっては静電容量が減少してしまいます。静電容量を確保するには図4(c)のようにピットが埋まらない厚みに制限する必要があり、この酸化膜の厚みに従って耐圧も制限されます。
 また、酸化膜はアルミ表面の内外に成長しますので厚い酸化膜がほしければエッチング後のアルミ残厚やピット径(孔径)を大きくしなければならず、前述したように耐圧によって交流エッチング法や直流エッチング法を使い分けしなければならないのです。


図4:酸化膜の断面イメージ

 なお、陰極(集電)用の箔には特に化成処理を施しませんが倉庫などに保管する時に大気中の酸素と反応して自然酸化膜ができてしまいます。この自然酸化膜の耐圧は1〜2Vと言われています。

 次回は化成処理について説明します。


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執筆者プロフィール

加藤 博二(かとう ひろじ)

1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。


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