内部で認証鍵の生成と消去ができるセキュアIC:パナソニック MN67S3C0シリーズ
パナソニックは、多機能セキュアIC「MN67S3C0」シリーズを発表した。IC内部で固有認証鍵の生成と消去ができることから、IoTや産業用機器に追加実装するだけで、重要データを保護できる。
パナソニック インダストリアルソリューションズ社は2020年1月、内部で固有認証鍵の生成と消去ができる多機能セキュアIC「MN67S3C0」シリーズを発表した。IoT(モノのインターネット)や産業用機器に追加実装することで重要データを保護できる。同年2月からサンプル出荷を開始する。
ICの指紋から認証鍵を毎回生成し、認証後に消去
MN67S3C0シリーズは、IC内部に人間の指紋のような固有のアナログ情報(ICの指紋)を個別に保有する。機器の認証時には、内部でICの指紋から認証鍵を毎回生成し、認証作業が終了すると鍵を消去するため、外部からの攻撃による鍵の抜き取りをブロックする。また、認証鍵でメモリ内のデータを暗号化するため、データの抜き取りや改ざんへの耐性が向上する。
インタフェースには、SPI、I2C、NFCを搭載。無線通信規格のNFCを介することで、インターネット接続してない機器もスマートフォンやタブレット端末経由で接続できる。さらに、放射線耐性が高いReRAM(Resistive Random Access Memory:抵抗変化型不揮発性メモリ)を256Kバイト搭載し、放射線滅菌処理が必要な医療機器や医薬品の管理に適用できる。
また、MN67S3C0シリーズには、トラストサービス事業者などのセキュアIoTプラットフォームとの連携機能が搭載されている。そのため、同ICをIoT機器に組み込み、証明書による認証を実行することで、機器のライフサイクル全体にわたって安全性を確保できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AEC-Q100グレード1のセキュア認証用IC
Maxim Integrated Productsは、DeepCover車載グレードセキュア認証用IC「DS28C40」を発表した。同社は、車載システム用AEC-Q100規格のグレード1性能を満たす「唯一の認証用IC」としている。 - 非接触通信での性能を強化した決済用SoC
STマイクロエレクトロニクスは、非接触通信における性能とサイバー保護機能を強化した、決済用SoC「STPay-Topaz」を発表した。セキュリティや決済機能に関する認定に対応しており、カードへの実装がしやすい形状、状態で提供される。 - IoTデータ保護用高集積セキュリティ監視IC
Maxim Integrated Productsは、IoT機器の機密データを保護する、高集積セキュリティ監視IC「MAX36010」「MAX36011」を発表した。高度なセキュリティ機構により、開発の全段階で堅固な改ざん検出、暗号、セキュアストレージを容易に実装できる。 - 医療機器などに対応する耐放射線セキュア認証用IC
Maxim Integrated Productsは、DeepCoverセキュア認証用ICの「DS28E83」を発表した。滅菌時に使用するガンマ線や電子線の照射から手術器具のデータを保護し、安全な器具使用管理機能や偽造防止機能など器具のセキュリティを提供する。 - マイコンのセキュリティ機能を詳細解説 〜ソフトウェア編〜
マイコンを使い込んでいる上級者を対象にさらなるスキルアップ、知識習得を目指す連載「ハイレベルマイコン講座」。前回に引き続き、マイコンで実現されるセキュリティ機能について詳しく解説する。 - IoT向けセキュリティソリューションの提供で協業
STマイクロエレクトロニクスは、韓国Security Platformと協業し、標準セキュリティ規格に準拠した認証用IC「STSAFE-TPM」と、組み込みセキュリティソフトウェア「Axio-OS」「Axio-RA」を組み合わせたセキュリティソリューションを提供する。