連載
マイコン製品における出荷テストとは:ハイレベルマイコン講座【出荷テスト編】(1)(4/4 ページ)
マイコンの出荷テストについて2回に分けて詳しく解説する。1回目の本記事では、はじめに「マイコンの故障の定義」「故障モード」、次に製造工程のどのステップでテストが行われているかを説明するために「製造工程(製造フロー)」について説明する。そして最後に「基本的なテストの種類」について概要を説明する。
基本的なテストの種類(概要)
出荷テストについて、「マイコンの正常動作を確認するテスト」と誤解しているユーザーが多い。しかしこれは間違いで、出荷テストは「マイコンの正常動作ではなく、故障の有無を調べるテスト」である。
厳密には、「マイコン内部の仮定故障の有無を調べるテスト」になる。
とはいえ、故障がなければマイコンは正常に動作するので、間接的に正常動作をテストしていることになる。
今回は、基本的なテストの種類の概要を解説するにとどめ、各テストの具体的な方法と詳細については、次回解説する。
- 導通テスト
- パッケージの端子と内部のマイコンが電気的に接続されているかどうかのチェック
- DCテスト
- リーク電流、汎用I/Oの入力特性/出力特性などのDC特性のテスト
- ファンクションテスト
- 論理動作のテスト
- ACテスト
- 通信機能、発振回路などのAC特性のテスト
- 電源関連のテスト
- 消費電流や電源の安定性などの電源の特性に関するテスト
- 内蔵メモリのテスト
- 内蔵のフラッシュメモリ、RAM、EEPROMの機能テスト
- アナログ特性テスト
- A-DコンバーターやD-Aコンバーターのテスト
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 不良解析レポートを理解するための基礎知識 ―― 一次物理解析&電気的特性評価
マイコンをより深く知ることを目指す新連載「マイコン講座」。今回から3回にわたって、マイコンメーカーが行っている「不良解析」を取り上げる。メーカーから送られてくる不良解析レポートの内容を理解するための、不良解析に関する基礎知識を紹介していく。 - マイコンで実現!実践AIソリューション〜「組み込みAI」の復習とプロジェクトの概要
すでにマイコンを使い込まれている上級者向けの技術解説の連載「ハイレベルマイコン講座」。今回は、実際にSTマイクロエレクトロニクスの32ビットマイコン「STM32F746」を使って、文字認識のAIプロジェクトを実行してみる。連載1回目の今回は、まず「組み込みAI」について復習した後、今回行うAIプロジェクトの概要を説明する。 - どのノイズ対策が最も効果的か? よくあるEMS対策を比較する【準備編】
すでにマイコンを使い込まれている上級者向けの技術解説の連載「ハイレベルマイコン講座」。今回から2回にわたって、一般的なEMS(電磁耐性)のノイズ対策手法を実際に試し効果を比較し、各ノイズ対策手法を考察する。 - マイコンで実現するAI ――「組み込みAI」とは
マイコンを使い込んでいる上級者向けの技術解説の連載「ハイレベルマイコン講座」。2回にわたって、汎用マイコンにAIを実装するための開発ツール「STM32CubeMX.AI」を題材にして「マイコンを使った組み込みAIアプリケーション(組み込みAI)」について解説する - マイコンの“アーキテクチャ”って何?
すでにマイコンを使い込まれている上級者向けの技術解説の連載「ハイレベルマイコン講座」。今回から3回にわたり、マイコンのアーキテクチャについて詳しく解説する。第1回(=今回)は、まず、CPU(Central Processing Unit)の構成要素と各部の動作について解説し、次に「アーキテクチャ」の各要素についてみていく。 - マイコンに搭載されたA-Dコンバーターの測定精度を上げる方法【原因と対策】
すでにマイコンを使い込んでいるマイコン上級者に向けた技術解説連載「ハイレベルマイコン講座」。今回から2回にわたって、ノイズの影響を受けず、マイコンに搭載されているA-Dコンバーター本来の測定精度を得る方法を、実際の測定を基に解説する。