低周波のインピーダンス測定例とLCRメーターの校正:LCRメーターの基礎知識(3)(4/4 ページ)
今回は低周波のインピーダンス測定を行う事例について、LCRメーターを使う場合とロックインアンプや周波数特性分析器などを使う場合に分けて解説する。
燃料電池の特性評価
燃料電池やリチウムイオン電池などの化学電池の内部状態を推定するためにインピーダンス測定が行われている。電池の内部インピーダンスを測定する方法には簡易的には電流遮断法という方法が用いられるが、研究分野では再現性がよく測れる周波数特性分析器(FRA)を使った方法が使われている。
下記には燃料電池のインピーダンス特性を測る仕組みを示す。
電力計を使ってのリアクトル測定
パワーエレクトロニクス機器に使われるインダクタ(リアクトル)の動作状態でのインダクタンスを測定する場合は高帯域の電力計を用いる。試料のインダクターに正弦波の信号を加えてその両端の電圧と試料に流れる電流の波形を電力計に取り込んで演算を行ってインピーダンスを求める。
パワーエレクトロニクス用のインダクターに大きな電流を流してインピーダンスを求める場合にこの方法が使われる。
LCRメーターの校正
LCRメーター本体は発振器とベクトル電圧計が組み合わせられた測定器であるため、それぞれの性能を校正によって確認する。
実際のインピーダンスを測って校正を行う場合は、特性が分かっている抵抗とコンデンサーの標準器が必要となる。
LCRメーターを出荷時の状態に補正するには振幅は抵抗標準器、位相はコンデンサー標準器を用いて行う。
低周波インピーダンス測定器の校正に関しては独立行政法人 製品評価技術基盤機構認定センターが「技術的要求事項適用指針 校正手法の区分の呼称:低周波インピーダンス測定器等【低周波インピーダンス】」を発行している。
おわりに
低周波のインピーダンス測定は電子部品に限らずさまざまな分野で行われている。測定器もLCRメーターやインピーダンスアナライザーといった専用の測定器だけではなく、ほかの測定器によっても可能であるため工夫をすればさまざまな試料の特性が測れることを紹介してきた。
今後、この記事が皆さまの研究、設計、生産の現場で交流インピーダンスを測定する助けになることを期待する。
転載元「TechEyesOnline」紹介
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