高精度測定に適した双方向電流センスアンプ:STマイクロ TSC2010、TSC2011、TSC2012
STマイクロエレクトロニクスは、双方向電流センスアンプ「TSC2010」「TSC2011」「TSC2012」を発表した。低いシャント抵抗値を採用して電力損失を抑え、−20〜+70Vのコモンモード電圧全域で電流を検出する。
STマイクロエレクトロニクスは2021年2月、高電圧で高精度の双方向電流センスアンプ「TSC2010」「TSC2011」「TSC2012」を発表した。抵抗値の低いシャント抵抗を採用して電力損失を抑え、−20〜+70Vのコモンモード電圧全域で電流を検出する。
ゲイン値は、TSC2010が20V/V、TSC2011が60V/V、TSC2012が100V/V。異なるゲインで利用できるため、多様な産業および車載用システムに向けた電流測定、過電流保護、電流モニター、電流フィードバック回路などの柔軟な構築に役立つ。
双方向の測定に対応し、1つの検出回路で順方向と逆方向の電流を測定できるため、部材コストを削減する。さらに、ハイサイドとローサイド、2つの接続が可能で設計を共通化できる。データ取得、モーター制御、ソレノイドの制御や計測、プロセス制御などに適している。
高精度測定と優れた堅牢性
3製品とも、電源電圧範囲は2.7〜5.5V、オフセット電圧は最大±200μVで、オフセットドリフトは最大5μV/℃、ゲインエラーは最大0.3%。フルスケールで最小10mVまでの電圧降下を検出し、測定誤差を最小限に抑える。動作温度範囲は−40〜+125℃で、EMI(電磁干渉)フィルターとESD耐性を備えており、堅ろう性に優れる。
いずれも既に入手可能で、1000個購入時の単価は約0.9米ドル(車載対応製品は約1.08米ドル)。Mini-SO8パッケージとSO8パッケージで提供する。同社では、3製品対応の評価キット「STEVAL-AETKT1V2」も用意している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- PWM除去機能搭載の双方向電流検出アンプ
Maxim Integrated Productsは、パルス幅変調除去機能を備えた双方向電流検出アンプ「MAX40056」を発表した。PWMスルーレート500V/マイクロ秒以上を除去し、500ナノ秒以内のセトリング時間で精度0.3%のフルスケール巻線電流測定を実行する。 - 電源制御ICでミリオーム・メーターを作る
古いレギュレーターICを使って、ミリオーム・メーターを簡単に作る方法を紹介する。 - 低抵抗測定で熱電対による雑音を取り除く
小さな電圧または低いインピーダンスを測ろうとするとき、熱による起電力は読み取り誤差となることが多い。そこで、本稿では測定結果から熱器電力による誤差を排除する計測手法を紹介する。 - 次世代パワー半導体向けソースメジャメントユニット、3kVで20mAの4象限動作
ケースレーの2657A型は、±3000Vの高電圧に対応できる上、電流測定で1fAと高い表示分解能を実現したソースメジャメントユニット。SiCやGaNなどの次世代材料を使う高耐圧/低リーク/低オン抵抗のパワー半導体デバイスの特性評価や量産テストに使える。 - P-SON4パッケージの小型フォトリレー
東芝デバイス&ストレージは、小型のP-SON4パッケージを採用したフォトリレー「TLP348x」シリーズの3品種「TLP3480」「TLP3481」「TLP3482」を製品化し、出荷を開始した。 - AC電力メーター関連規格に準拠した評価ボード
STマイクロエレクトロニクスは、電力メーター用評価ボード「EVALSTPM-3PHISO」を発表した。電力やガス、水道メーターに加えて、電気自動車の充電、サーバ、太陽光発電システム用インバーターなどの用途を見込む。