回転ブラシが回らなくなった掃除機の修理【後編】:Wired, Weird(2/2 ページ)
前回に続き、回転ブラシが回らなくなった掃除機の修理の様子を報告する。前回は、とりあえず動作するところまではこぎ着けたが、完璧な修理とはいえる内容ではなかった。そこで、今回は完璧に近い修理を目指すことにする。
ダウンコンバーターを取りつける
取り出したモーターのケーブルのコネクターを延長して小型ダウンコンバーター基板をハンダ付けし、基板をモーターヘッドカバー内に取り付ければよい。ダウンコンバータ基板の写真を図2に示す。
図2の小型ダウンコンバーター基板のサイズは15mm×10mm、厚さ5mm程度だ。この大きさならモーターのカバー内に入るだろう。本体の21V電源の配線をダウンコンバーターのIN+とIN-の端子に配線しOUT+とOUT-の端子にモーターをハンダ付けすればよい。前回記事の図3と同じ写真だがダウンコンバーターに接続して動作を確認した様子を紹介する。
図3の中央にワニ口クリップで接続している基板がダウンコンバーターだ。バッテリーの電圧は21Vなので代わりに安定化電源の21Vをダウンコンバーターの入力に接続し、8Vの電圧が出るように調整している。ダウンコンバーターの出力8Vを電動ブラシのモーターに印加して、動作確認した。安定化電源の21Vの電流表示は0.6Aでブラシは正常に動作した。1分ほど連続動作させたがダウンコンバーターは発熱しなかった。この方法が最も安全で電力の損失は少ない。
これでやっと掃除機でモーターが動作しないときの修理方法が確立できた。友人からは最初の抵抗を追加した修理の状態で使えているようで、不具合や再修理の連絡はまだ無い。もしかしたら新品を買ったのかもしれない。
過電流には十分注意を払うべき
モーターを使う機器では、モーターがロックした時の過電流には十分注意を払うべきだ。過電流を感知したらラッチしていったんモーターを止めて、電源を切って再投入したら再起動するような安全回路の設計の設置を心がけるべきだ。これならモーターが壊れるまで掃除機が使えるだろう。
今回は著名なメーカーの掃除機を分解して素晴らしい掃除機の構造をみることができた。この掃除機はモーター駆動の定電流回路を改善すれば、不良が少ない完璧な製品になると思った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 回転ブラシが回らなくなった掃除機の修理【前編】
電動の回転ブラシが回らなくなった掃除機の修理を依頼された。今回から2回にわたって、修理の様子を報告していこう。 - アイデア工具を使ったハンダ抜きテクニック
今回は、基板にダメージを与えずにハンダ抜き(ハンダ外し)を行うためのテクニックを紹介する。偶然見つけたアイデアツールなど、筆者が日頃の修理業務で使っているハンダ抜き工具も披露しよう。 - 基板にダメージを与えず、簡単に表面実装部品を外す方法
修理を行う中で、表面実装部品(SMD)を基板から外さなければならない機会が増えたが、なかなか、うまくいかない。そこで、表面実装部品を基板にダメージを与えることなく、簡単に取り外す方法を模索してみた。今回は、筆者がたどり着いた表面実装部品を簡単に外す方法を紹介しよう。 - タピオカストローでレーザーポインターを作る
今回は100円ショップで販売されているタピオカストローを使ったレーザーポインターの作り方を紹介する。 - 繰り返すエンストの恐怖 ―― 劣化した車のバッテリーを復活させる方法(1)
劣化した車のバッテリーを改善する方法を調べたところ、「デサルフェーション回路」という改善回路があることを知った。実際に試作し検証を行ったので、その経緯を報告する。 - 連動しないインターフォンをつなぐ回路を考えた
自宅に2台のインターフォンがあるのだが、1台は玄関の呼び出しスイッチを押しても鳴らない。不便なので、2台とも呼び出しスイッチの音が鳴るように、連動させる回路を試行錯誤を繰り返し、作ってみたので紹介する。