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GaN FETの特性GaNパワー半導体入門(2)(4/4 ページ)

省エネ化/低炭素社会のキーデバイスとして、化合物半導体であるGaN(窒化ガリウム)を用いたパワー半導体が注目を集めている。本連載では、次世代パワー半導体とも称されるGaNパワー半導体に関する基礎知識から、各電源トポロジーにおけるシリコンパワー半導体との比較まで徹底解説していく。第2回である今回は、GaN FETの特徴であるスイッチングスピードに関して、他の素子と比較しながら解説する。

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Si FETとGaN FETのFOM比較

 以上のことから、ローパワーのDC-DCコンバーターIC(数W〜数十W)では1MHz以上のスイッチング周波数も一般的に使用されるものの、ハイパワー(数十W以上)で1MHz以上の電源設計にはGaN FETが最も適しているといえるだろう。それでは、このGaN FETを用いた降圧コンバーターの実力をSi FETと比較して見てみよう(図7


図7:DC-DC降圧コンバーター効率比較グラフ[クリックで拡大]

 軽負荷から最大負荷まで、全域にわたってSi FETを上回る結果を確認できた。Si FETに関してはその時の市場においてベストの性能を備えていると思われる製品を比較対象とした。

 やはり結果に大きく寄与するところはスイッチングスピードだ。FETの性能指標として(複数部品との性能比較)フィギアオブメリット(FOM)というものがある。一般にオン抵抗とスイッチング損失の絶対値をかけて大小を比較する。今回は、Qg(ゲート総電荷量)とオン抵抗で比較すると表1の一覧になる。


表1:FOMの比較[クリックで拡大]

 この仕様比較からも明らかで、実際の損失は図8の結果となった。


図8:ハイサイドおよびローサイドFETの損失[クリックで拡大]

 このように、GaN FETのハイパワーかつ高速スイッチングの性能は目に見えて明らかであり、これからさまざまな形で市場に普及し、新しいパワーエレクトロニクス設計のキーデバイスとなっていくことが期待される。

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