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直流/交流電圧や抵抗の測定と仕様の見方:初めて使うデジタルマルチメーター(2)(6/8 ページ)
デジタルマルチメーターの基礎的な使い方について解説する本連載。今回は直流/交流電圧および抵抗の測定と仕様の見方について説明する。
抵抗を測定するための結線
デジタルマルチメーターの内部には直流定電流源があり、抵抗器に一定の電流を流して抵抗の両端に発生する電圧を測定し、オームの法則に従った演算を行うことによって抵抗値を求める仕組みがある。
デジタルマルチメーターを使って抵抗を測定するための結線には、2つの方法がある。多くの測定では2端子法が使われるが、精密な抵抗測定や低抵抗の測定では4端子法が使われる。
2端子測定法では、測定対象の抵抗までの配線や接続端子による抵抗が加算された状態で抵抗測定が行われるため、測定対象の抵抗値が低い場合は誤差要因となる割合が増える。これを避けるために測定の前に配線などの抵抗を測る「Null」操作を行う。4端子法では、測定のための電流を別な配線を使うため配線による誤差は生じない。しかし、配線が複雑になるため精密な抵抗測定や低抵抗の測定以外は使うことは少ない。
34461Aを使って2端子測定法で測定する場合は、下図のように測定対象の抵抗器と結線する。
34461Aを使って4端子測定法で抵抗測定する場合は、通常のテストリードではなく、専用のケルビックプローブを使って測定するのが望ましい。
デジタルマルチメーターの抵抗測定の仕様表現
デジタルマルチメーターでは、抵抗器に流す定電流は測定レンジによって異なるため、仕様には測定電流が明記されている。
直流電圧の測定と同じように、規定された温度環境の範囲でのレンジごとの誤差と規定された温度環境を越えたときに加算する温度係数が示されている。
レンジ | テスト電流 | 24時間 TCAL±1℃ |
90日間 TCAL±5℃ |
1年間 TCAL±5℃ |
2年間 TCAL±5℃ |
温度係数/℃ |
---|---|---|---|---|---|---|
100Ω | 1mA | 0.0030+0.0030 | 0.008+0.004 | 0.010+0.004 | 0.012+0.004 | 0.0006+0.0005 |
1kΩ | 1mA | 0.0020+0.0005 | 0.008+0.001 | 0.010+0.001 | 0.012+0.001 | 0.0006+0.0001 |
10kΩ | 100μA | 0.0020+0.0005 | 0.008+0.001 | 0.010+0.001 | 0.012+0.001 | 0.0006+0.0001 |
100kΩ | 10μA | 0.0020+0.0005 | 0.008+0.001 | 0.010+0.001 | 0.012+0.001 | 0.0006+0.0001 |
1MΩ | 5μA | 0.002+0.001 | 0.008+0.001 | 0.010+0.001 | 0.012+0.001 | 0.0010+0.0002 |
10MΩ | 500nA | 0.015+0.001 | 0.020+0.001 | 0.040+0.001 | 0.060+0.001 | 0.0030+0.0004 |
100MΩ | 500nA || 10MΩ | 0.300+0.010 | 0.800+0.010 | 0.800+0.010 | 0.800+0.010 | 0.1500+0.0002 |
注1)確度仕様の表現は±(読み値の%+レンジの%)となっている。 注2)仕様は、K=2のISO/IEC 17025(JIS Q17025)に準拠している。 注3)温度係数はTCAL±5℃から外れる場合、1℃外れるごとにこの値が追加される。 注4)100MΩレンジでは端子間最大電圧を低くするために入力に10MΩの抵抗が並列に接続されるようになっている。 |
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