姿勢角と自己位置を検知する小型6軸慣性力センサー:村田製作所 SCH16T-K01
村田製作所は、姿勢角と自己位置を高精度に検知可能な小型6軸慣性力センサー「SCH16T-K01」を開発した。過酷な環境条件下でも、機械動特性や位置検知において高い性能が求められる用途に適している。
村田製作所は2024年1月、姿勢角と自己位置を高精度に検知可能な小型6軸慣性力センサー「SCH16T-K01」を開発したと発表した。
MEMSジャイロで世界最高水準のセンサー性能
同製品は、MEMSジャイロで世界最高水準の出力安定性と低ノイズの性能を備える。ジャイロアラン分散(底値)は0.5deg/h以下、ジャイロノイズは0.3mdps/√Hz以内。リニアリティは、ジャイロセンサーが0.02dps、加速度センサーが0.06m/s2となる。
産業用機器の自動運転化により、動的姿勢角と自己位置を正確に取得する必要性が高まっている。同製品は、ジャイロセンサーと加速度センサーの各軸(X軸、Y軸、Z軸)が直交補正された値を出力できる。補正したセンサー出力は軸直交性Error値が0.3deg以下で、これによりユーザー側でのキャリブレーションプロセスが簡素化でき、製造コストの低減にも寄与する。
また、同製品のみで、3軸のジャイロセンサーと3軸の加速度センサーの直交性が担保された6DoF(6 Degrees Of Freedom)を達成する。6DoFは、3次元で物体が取り得る動きの自由度を示す。
24ピン、12×14×3mmサイズのSOICプラスチックパッケージを採用していて、同社の6軸製品では最小になるという。小型パッケージで製品化することにより、省スペースでの実装ができる。
同製品を含む「SCH16T」シリーズの主な用途は、慣性計測装置、慣性航法および位置決め、機械制御システム、ロボット制御と無人航空機など。過酷な環境条件下でも、機械動特性や位置検知において高い性能が求められる用途に適している。同社では今後、次世代6軸製品SCH16Tシリーズのラインアップを拡充していく予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 小型かつ高性能のRFIDインレイ用フィルムアンテナ
日本航空電子工業は、スプリットリング共振器アンテナ技術を用いたRFIDインレイ用フィルムアンテナを開発した。通信距離が長く、全方向からの通信に対応する。村田製作所のモジュールに搭載する予定だ。 - RoHS準拠、Wi-Fi 6E対応コンボモジュール
村田製作所は、Wi-Fi 6Eに対応したWi-Fi、Bluetoothコンボモジュール「Type 2EA」を開発した。通信速度が向上していて、ライブカメラ、ARおよびVRデバイス、その他のIoT機器などでの用途に適する。 - ベイパーチャンバー向け新材料採用ウィック
村田製作所と安永は、電子機器向け放熱部品のベイパーチャンバー向けに微細形状加工箔を用いたウィックを共同開発した。既存のウィックと比較して毛細管力が大きく、ベイパーチャンバーを薄型化、高性能化できる。 - TMR素子採用のコアレス電流センサー
村田製作所は、コアレス電流センサー「MRD」シリーズを開発し、量産を開始した。TMR素子を採用しており、−40〜+105℃の温度範囲で電波を測定できる。 - 3225サイズで高直流重畳特性の車載メタルパワーインダクター
村田製作所は、150℃の高温環境でも使用可能で、高い直流重畳特性を備えた、車載向けメタルパワーインダクター「DFE32CAH_R0」シリーズの量産を開始した。直流重畳定格電流値は、最も高い製品で8.7Aを示す。