検索
連載

デジタル回路とアナログ回路の違いって何? 内部構成や仕組みを解説Q&Aで学ぶマイコン講座(92)(4/4 ページ)

マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初心者の方からよく質問される「デジタル回路とアナログ回路の違い」についてです。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

(3)内蔵基準電圧回路、温度センサー

 最近のマイコンには、内蔵基準電圧回路、温度センサーが内蔵されています。

 マイコンで使用される内蔵基準電圧回路や温度センサーの多くは、BGR(Band Gap Reference:バンドギャップリファレンス)回路を使っています。BGRは基準電圧回路の一種で、出力電圧は1.2V近辺のものが多いです。

 PN接合を作ると、接合部でエネルギーの差によるエネルギーバンドができます。このバンドの最も高いエネルギー(価電子帯)から、最も低いバンド(伝導帯)までのエネルギー準位および、そのエネルギーの差をバンドギャップと呼びます。

 BGRから電圧を取り出す方法は、PN接合素子の順方向電圧を利用する方法が一般的です。ダイオードに順方向電流を流すと、順方向電圧が発生するため、これを取り出します(図5参照

<strong>図5:BGR(Band Gap Reference)回路</strong>[クリックで拡大]
図5:BGR(Band Gap Reference)回路[クリックで拡大]

 BGRはPN接合の特性なので、マイコンの電源電圧に依存せずにほぼ一定電圧(1.2V近辺)が得られるということで、内蔵基準電圧に使用されます。図6に、STM32G081Rマイコン*4)の内蔵基準電圧回路の特性を示します。ここではTyp.値が1.212Vです。

<strong>図6:内蔵基準電圧回路特性</strong>[クリックで拡大]
図6:内蔵基準電圧回路特性[クリックで拡大]
特性は、STM32G081xBのデータシートから抜粋

(*4)STM32G081Rマイコン

 一方で、バンドギャップエネルギーは温度が上がると減少する傾向があります。この温度特性を利用すると、温度センサーを作れます。

 内蔵基準電圧として利用されるBGRは温度特性の影響を受けずに、なるべく一定電圧を得られるように設計されますが、温度センサーとして利用されるBGRは、温度によってなるべく電圧が変化するように設計されます。温度センサー用のBGRの電圧をA-Dコンバーターで電圧に変換して温度に換算します。図7に、STM32G081マイコン*4)の温度センサーの特性を示します。ここでは、0.76Vの時が30℃に相当します。

<strong>図7:温度センサー特性</strong>[クリックで拡大]
図7:温度センサー特性[クリックで拡大]
特性は、STM32G081xBのデータシートから抜粋

 時々、マイコンの環境温度が測れると思っているユーザーがいますが、温度センサーで測定できるのは、マイコンのシリコン上に作られたPN接合の温度です。

⇒次の記事を読む

Q&Aで学ぶマイコン講座:過去の質問一覧はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る