保護機能や診断機能を備えた車載用DCモーター向けゲートドライバーIC:電流をプログラム設定可能
STマイクロエレクトロニクスは、車載用DCモーター向けゲートドライバーIC「L99H92」を発表した。プログラミングや診断用のSPIポート、チャージポンプ回路、各種保護機能、2つの電流センスアンプを備える。
STマイクロエレクトロニクスは2024年4月、車載用DCモーター向けゲートドライバーIC「L99H92」を発表した。既に量産を開始していて、1000個購入時の単価は、QFN32パッケージが約1.7062米ドル(約266円)、TQFP32パッケージが約1.7246米ドル(約269円)となる。
L99H92は、ハイサイドドライバーおよびローサイドドライバーを2個ずつ備え、1個のハーフブリッジを制御して双方向DCモーターを1個駆動する。あるいは、2個のハーフブリッジを制御して、単方向モーターを2個駆動できる。
チャージポンプ回路がハイサイドドライバーを駆動し、自動車のバッテリー電圧が変動して、5.41Vに下がった場合でも出力電圧を維持できる。また、チャージポンプ回路の出力電圧は外部ピンも利用できるため、MOSFETの制御により、バッテリーを逆接続した場合も保護可能だ。
電流をプログラム設定可能で、外付け部品が不要
L99H92は、SPIポートからゲート駆動電流をプログラム設定でき、スルーレートを制御して電磁放射ノイズと放熱を最小限に抑えられる。外付けのディスクリート部品は必要ない。
過電流検知や貫通電流保護、過熱を早期に知らせる機能など、さまざまな保護機能や診断機能を搭載し、信頼性と安全性に優れる。入力はフェイルセーフ機能により、全てのMOSFETを瞬時にオフにでき、専用の診断ピンで即座にアラートを出力できる。
ハイサイド、ローサイド、インラインの検出に適した2つの電流センスアンプを内蔵していて、システムの状況を監視する。電流センスアンプはそれぞれ独立してゲインを設定できるため、オフセットと熱ドリフトの低減が可能になる。
パッケージは、TQFP32パッケージか、外観検査が容易になるQFN32ウェッタブルフランクパッケージで提供する。主な用途として、電動サンルーフ、パワーウィンドウ、電動トランク、スライドドアなどを想定している。
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