低オン抵抗/高信頼性 車載向けSiC MOSFETベアダイ品:東芝 X5M007E120
東芝デバイス&ストレージは、車載トラクションインバーター用1200V耐圧SiC MOSFETのベアダイ製品「X5M007E120」を発表した。ショットキーバリアダイオードの配置を市松模様に変更したことで、バイポーラー通電を効果的に抑える。
東芝デバイス&ストレージは2024年11月、車載トラクションインバーター向けの1200V耐圧SiC MOSFETのベアダイ製品「X5M007E120」を発表した。既にテストサンプルの出荷を開始していて、エンジニアリングサンプルの出荷は2025年、量産出荷は2026年を予定している。
同製品は、内蔵するSBD(ショットキーバリアダイオード)の配置を市松模様に変更した。従来のストライプ配置と比べて、ボディーダイオードのバイポーラー通電を効果的に抑えられる。これによって、同じSBD搭載面積の従来品と比べてユニポーラー動作の電流範囲の上限が2倍になった。
また、チャンネル密度も向上。単位面積当たりのオン抵抗が、ストライプ配置の従来品と比べて20〜30%程度減少している。
短絡動作時の耐久性が向上
深いバリア構造を採用し、短絡動作中のMOSFETでの過剰な電流やSBDでの漏れ電流を抑制する。逆導通動作に対する信頼性を保ちつつ、短絡動作時の耐久性を向上できる。
ベアダイのため、顧客の需要に合わせたカスタマイズが可能。用途に応じたソリューションを提供できる。
パッケージは、6.0×7.0mm(Typ.)の2-7Q1Aを採用した。ドレインソース間電圧定格は1200V、ゲートソース間電圧定格は+25Vおよび−10V。ドレイン電流定格(DC)は229Aで、チャンネル温度定格は175℃だ。車載向け電子部品規格「AEC-Q101」に準拠する。
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