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デジタルキー商用化への第一歩 NXPがCCC認証を取得NFCとeSEを1チップに

NXP Semiconductorsのデジタルキー設計ソリューションが業界団体「Car Connectivity Consortium(CCC)」の認証を受けた。デジタルキー商用化が近づいたといえる。

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 デジタルキーの商用化が一歩近づいた。NXP Semiconductors(以下、NXP)の設計ソリューションが業界団体「Car Connectivity Consortium(CCC)」の認証を受けたためだ。

 デジタルキーは、スマートフォンやキーフォブといったモバイルデバイスと自動車との間で安全にキーを通信/保存/認証/共有できるようにする。そしてセキュアなアクセスを提供し、キーシェアリングやマルチカーアクセス、設定可能な運転権などの新しい機能を実現することによって、カーアクセスの利便性を向上させる。

 NXPは、2023年12月に始動したプログラム「CCC Digital Key Certification」の認証を受けた、業界初の自動車用デジタルキーソリューションプロバイダーとなった。同社はCCC認証を取得するにあたって、Keysight Technologies(以下、Keysight)と、デバイスセキュリティ研究機関であるRiscure Security Solutions(以下、Riscure Security)と提携した。

デジタルキーを用いると、ドライバーは自動車にシームレスかつ安全にアクセスでき、家族などにもアクセス権を与えられる
デジタルキーを用いると、ドライバーは自動車にシームレスかつ安全にアクセスでき、家族などにもアクセス権を与えられる[クリックで拡大] 出所:Riscure Security Solutions

UWB無線通信とBLE技術を採用

 NXPのデジタルカーキーソリューションは、NFCコントローラーと組み込みセキュアエレメント(eSE)をシングルチップに組み込み、モバイルと自動車の両方に対応している。NFC技術は、スマートフォンのバッテリー残量が低い場合でも、カーアクセスやドライバー認証を起動できる。eSEは、NFC対応スマートフォンやキーフォブ、またはデジタルキーを保有しているNFCスマートカードなどで自動車の解錠とエンジン始動を可能にする。

 NFCとeSEを組み合わせることで、自動車へのアクセスを他のモバイルデバイスと安全に共有することもできる。NXPのデジタルキーシステムソリューションは、超広帯域(UWB)無線通信とBluetooth Low Energy(BLE)技術を採用し、正確かつセキュアなローカライゼーションを実現する。これらの技術全体でカーアクセスのデジタル化を支援することで、家族や友人がスマートデバイスで自動車の鍵を共有したり、カーシェアリング企業がクラウド経由で鍵を提供したり、オンラインでの注文を車に届けたりできるようになる。

デジタルキーを用いると、ドライバーは自動車にシームレスかつ安全にアクセスでき、家族などにもアクセス権を与えられる
デジタルキーを用いると、ドライバーは自動車にシームレスかつ安全にアクセスでき、家族などにもアクセス権を与えられる[クリックで拡大] 出所:Riscure Security Solutions

 KeysightとRiscure SecurityはNXPと密接に連携してこのデジタルキー設計ソリューションの評価/認証を行い、業界初となるCCC Digital Key Applet(DKA)認証を実現した。CCC DKAプログラムは、公開鍵プロトコルやハードウェアベースの鍵ストレージ、ワイヤレス伝送規格などの実装を評価し、鍵と自動車が近接した状態においてユーザーアクセスを安全に承認する。

 つまり、ますます大きくなるセキュリティリスクに対し、バックエンドサービスに負担をかけることなく重要な保証と堅牢性を提供するのだ。これは、デジタルキーシステムの開発と市場導入を先導する極めて重要なステップだ。そして次なるステップは必然的に、CCC Digital Key仕様に準拠したデジタルキーを搭載する自動車となるだろう。

【翻訳:田中留美、編集:EDN Japan】

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