壊れたテレビの電源基板の修理【前編】――強力な参考回路図を入手!:Wired, Weird(2/2 ページ)
友人から『自宅のテレビが壊れて、電源が入らなくなった』と相談があった。今回は、国内の著名なメーカーのテレビの修理を報告する。
次に電源基板下段へ、サブ電源回路の動作は?
次に電源基板下段の回路を調べた。図1左下のコネクターは出力電源用で、その右側に8ピンのDIP ICがあった。図3に示す。
図3中央部にMIP2H2とシルク印刷されたICがあり、周辺には小型のトランスがあった。このICで電源のサブ電圧を生成しているようだ。MIP2H2のデータシートを探したが、正確な情報は得られなかったが、代わりにこの電源基板に類似した回路が見つかった。図4に示す。
図4の回路は図1の電源基板と回路構成がほぼ同じで、PFC回路、サブ電源回路、メイン電源回路で構成されていた。サブ電源部を確認すると、DC3.3Vが生成されていた。少し電圧が低いが図4の回路図では3.3Vで修理品と同じだった。サブ電源付近の回路図を図5に示す。
図5の回路を確認すると、図5左上にPNPとNPNの2つのトランジスタで構成されたラッチ回路があった。この回路はPFC電圧か出力電圧を監視し、過電圧であれば電源出力を遮断する回路だろう。通電して電圧を確認したがラッチ回路はオフしており、電源不良の原因ではなかった。
図5下側の回路がサブ電源の生成回路で、図5右下に出力電圧を設定するシャントレギュレーターとフォトカプラの回路があった。電源電圧を10KΩと6KΩの抵抗で分圧して、その電圧が1.26Vになるように構成されており、3.36Vの出力で正常だった。この回路も正常に動作していた。
いよいよ本丸のメイン電源に入るが、この回路図ではPFC電源、サブ電源、メイン電源の各制御ICの型名も回路図の型番とほぼ同じだった。類似の回路が見つかり、かなり強力な参考回路図が得られたので、修理を完了できる可能性が高くなった。続きを次回に報告する。
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