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主要ICのデータシートはなかったが......壊れたテレビの電源基板の修理【後編】:Wired, Weird(4/4 ページ)
著名な国内メーカーのテレビの電源基板の修理の続きだ。今回は電源基板のメイン出力部の修理結果を報告する。
後日、友人から連絡……テレビの動作は?
後日、友人から連絡があった。
『AC100Vの電源ケーブルをコンセントに挿した時点で、テレビの電源がON状態になりました(アップコンバーターの起動スイッチは押していない状態です)。試しにIC起動電圧のコンバーターを外した状態でテレビのAC100Vの電源ケーブルを挿すと、勝手にテレビの電源がオンになる状態です。テレビ電源のオフスイッチを押すと、テレビの電源はオフ状態になりますが、2回目以降はテレビをオンにすることができません。しかし、リモコンでテレビ電源のオンオフ操作が可能です』
ということだった。どうやら、追加した電源基板の他に電源を起動する回路が隠れていたようだ。1度テレビが起動するとコンデンサーにたまった電荷で起動できるようだ。もしかしたら、電源制御ICのFETのゲート電源用に追加したコンデンサーがうまく働いたのかもしれない。
今回の修理ではテレビの電源基板に使用された主要なICのデータシートが3個とも開示されていなかった。データシートが無いと回路を理解することができず修理は難しくなる。たまたま検索でこのテレビの基板の類似回路が見つかった。この類似回路が見つからなかったら、修理は途中で諦めていただろう。
結果的には基板にはほとんど改造なしで電源基板が動作するようになった。しかし、なぜテレビの電源の出力が出なくなったのかは不明だ。このテレビでは実装された電源用のICのデータシートが開示されていないのも気になった。
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