マイコンの消費電力を低減するには?:Q&Aで学ぶマイコン講座(101)(4/4 ページ)
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、中級者の方からよく質問される「消費電力を低減するには?」についてです。連載第23回「消費電力の計算方法」と第28回「いろいろなマイコンの低消費電力モードを理解する」の応用編です。
平均電流を減らす手法
(1)待機時電流を減らす
一般的に、高速モードと待機モードでは待機モードの方が長いので、待機モードの消費電流を低く抑えた方が、平均電流も低くなり、全体の消費電流を低減できます。
再度、表1を見てみましょう(下表)。待機モードにはスリープモード、ストップモード、スタンバイモードがあります。この中で、最も消費電流が低いのはスタンバイモードです。従って、スタンバイモードで待機するのが最も消費電流を低減できることになります。しかし、スタンバイモードではRAMのデータは保持されません。RAMのデータを保持したい場合は、ストップモードで待機しなければなりません。どちらを選ぶかは開発者が決めます。RAMのデータを保持しなくてもシステム上問題なく待機できるように設計できれば、最も消費電流が低いシステムが出来上がります。
マイコンによっては、RAMの一部のエリアや、データ保持可能な特殊なレジスタを持っていて、スタンバイモードでもデータを保持できるものもあります。開発者は、マイコンの仕様も良く検討して、待機モードを決めます。
(2)高速動作時電流を減らす
比率から見ると、高速モードは短期間ですが、この期間の消費電流を抑えることも大事なポイントです。図5に、高速モード時に、ランモードを使用した場合と低電力ランモードを使用した場合の比較を示します。
ランモードを使用すると、演算が短時間で終わるため高速モードの期間は短くできます。しかし、消費電流は大きくなります。一方、低電力ランモードを使うと消費電流は少ないですが、処理速度が遅くなるので高速モードの期間は長くなります。
どちらが有利かは、一概には判断できません。開発者が消費される総電流量を計算して判断する必要があります。
さらに、低電力ランモードは、演算速度が遅いので、システムのレスポンスに影響を及ぼす可能性があります。開発者は、システムのレスポンスを考慮して、マイコンのモードを判断する必要があります。
(3)スタティック電流の考え方
スタティック電流を減らすためには、スタティック電流を消費するモジュール(A-DコンバーターやD-Aコンバーターなど)を使用しないことが一番の方法ですが、そんなわけにもいきません。従って、使用したとしても極力最小限にとどめることがポイントになります。
例えばA-Dコンバーターでは、変換速度によって動作期間が決まってきます。スタティック電流は、A-Dコンバーターが動作している最中は、常に流れますので、なるべく動作期間を短くして、スタティック電流を抑えることがポイントになります。
マイコンによっては、スタティック電流を抑えるためにアナログモジュールの電源を小まめにON/OFFできるものがあります。スタティック電流を制御するためには、非常に有効な機能ですので、ぜひ活用してみましょう。
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