400nAの低消費電流 コイル一体型昇圧DC-DCコン、トレックス:電池駆動時間を重視する機器に
トレックス・セミコンダクターは、コイル一体型昇圧同期整流DC-DCコンバーター「XCL108」シリーズを開発した。400nAの自己消費電流によって、数μA時の出力電流における効率を従来品に比べ大幅に改善している。
トレックス・セミコンダクターは2025年5月、コイル一体型昇圧同期整流DC-DCコンバーター「XCL108」シリーズを開発したと発表した。既に量産中で、価格は308円(税込)だ。
消費電流が400nAと低く、コイル一体型構造によりスペースをとらないので、小型で長時間駆動を要求される電池駆動の電子機器に適している。入力電圧は0.65〜5.5V、動作開始電圧は1.6V、出力電圧範囲は3.0〜5.5V、発振周波数は1.2MHz、動作周囲温度は−40〜+105℃だ。
軽負荷時の出力電流における効率を改善
XCL108シリーズは、低消費電流によって、従来のDC-DCコンバーターに比べて数マイクロアンペア時の出力電流における効率を大幅に改善。また、PWM、PFM制御方式の採用で、機器のスリープ状態から通信やセンシングなどのアクティブ状態まで、さまざまな電流帯で常に高効率を発揮する。
常時昇圧動作をさせていても、システム待機割合が多い機器の消費電力を削減し、電池駆動の長時間化および電池容量、サイズ低減に貢献する。
さらに、プリント基板上の配線パターンを最小化でき、電流ループからのノイズ放射を大幅に低減できる。コイル一体型構造のため、コイル選定の必要がなく、部品選定などの開発に必要な期間が短縮できる。
パッケージは、2.5×2.0×1.04mmサイズのCL-2025-02を採用し、小型で低ノイズかつ他製品とのピン互換性を持つ。セラミックコンデンサーを外付けしても、実装基板は7.7×3.1mmに収まる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
スリープ時の電流は70nA、日清紡マイクロの昇圧DC-DCコン
日清紡マイクロデバイスは、民生機器向け昇圧DC-DCコンバーター「NC4650」シリーズを発売した。スリープ時の消費電流を従来品の4分の1に低減したほか、ノイズを抑制する低リップルモードを備えている。
48Vから12Vに電圧変換するDC-DCコンバーター、Vicor
Vicorは、DC-DCコンバーター「DCM3717」「DCM3735」シリーズを発表した。48Vの電力供給ネットワークを既存の12Vの負荷に対応させることが可能で、機器の小型化や軽量化、効率化に寄与する。
省スペースかつ高効率を実現、36V/600mA降圧DC-DCコンバーター
トレックス・セミコンダクターは、降圧DC-DCコンバーター「XC9704」「XC9705」シリーズを発表した。出力電流は最大600mA、入力電圧は最大36Vで、産業機器などで使用される12Vや24Vの電源入力に対応する。
宇宙グレードの放射線耐性を持つ50W DC-DCパワーコンバーター
マイクロチップ・テクノロジーは、宇宙グレードの耐放射線絶縁型50W DC-DCパワーコンバーター「LE50-28」ファミリーを発表した。シングル出力、トリプル出力を備える3.3〜28Vまでの9種を提供する。
部品面積を72%削減、民生/産機向けDC-DCコンバーターIC
ロームは、2.8×2.9mmの小型DC-DCコンバーターIC「BD9E105FP4-Z」「BD9E202FP4-Z」「BD9E304FP4-LBZ」「BD9A201FP4-LBZ」を開発した。4.9×6.0mmの一般的なSOP-J8パッケージに比べ、部品面積を約72%縮小できる。

