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A-Dコンバーターの4つのトラブル事例と対策Q&Aで学ぶマイコン講座(107)(1/4 ページ)

マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初級者の方からよく質問される「A-Dコンバーターのトラブル例」についてです。

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過去の質問一覧はこちら

 素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。

 今回は、初級者から多く寄せられる質問です。

質問です

 A-Dコンバーターを使用する際のトラブル事例を教えてください。

回答です

 A-Dコンバーターを使って、アナログ値をデジタル値に変換(以下、変換)する際に発生した主なトラブル事例には、次のようなものがあります。

  1. アナログ回路の起動時間を考慮しなかった
  2. 電流値が予想よりも大きい
  3. 2回変換しないと正確に変換できない
  4. ノイズの影響で、正確に変換できない

 アナログ回路には起動時間が必要です。起動時間を待ってからアナログ回路を使用しないと正確な変換ができません。ソフトウェアタイマーやハードウェアタイマーを使って、起動時間は確実に待つ必要があります。

 電流値の実測データとデータシートの値が異なっているという問い合わせがあります。データシートには、アナログ回路単体の電流値が示されていますが、実測値にはその他の電流要因が含まれるので、総合的に考える必要があります。

 消費電流の計算方法は、「Q&Aで学ぶマイコン講座(23):消費電力の計算方法」を参考にしてください。

 「2回変換しないと正確に変換できない」は、サンプル&ホールド型A-Dコンバーターにおいて、被測定電圧を保持するコンデンサーの電圧変化(サンプリング時間)を待たずに変換を開始してしまったために、正確に変換できなかった場合が考えられます。1回目の変換のサンプリング時間が不足していたが、2回目の変換で規定のサンプリング時間が確保され、正常に変換できた現象といえます。「Q&Aで学ぶマイコン講座(12):サンプル&ホールド型A-Dコンバーターのサンプリング時間はどうやって決めるの?」を参考にしてください。

 「ノイズの影響で、正確に変換できない」に関しては、「ハイレベルマイコン講座【ADC測定精度編】(1):マイコンに搭載されたA-Dコンバーターの測定精度を上げる方法【原因と対策】」で詳しく解説していますので、参考にしてください。

表1:A-Dコンバーターのトラブル事例
事例 内容 対策
アナログ回路の起動時間を考慮しなかった アナログ回路の起動時間を待たずにアナログ回路を使用したため変換値が異常だった。 ソフトウェアタイマやハードウェアタイマを使って、確実に起動時間を確保する。
電流値が予想よりも大きい アナログ回路の消費電流が、データシート値よりも大きかった。 アナログ回路以外の回路の消費電流が含まれる可能性があるので、総合的に考察する。
2回変換しないと正確に変換できない 1回目の変換値は異常だが、2回目の変換値は正確な値になる。これは、1回目の変換のサンプリング時間が不足していたが、2回目の変換で、規定のサンプリング時間が確保され、正常に変換できた現象。 十分なサンプリング時間を確保する。
ノイズを除去しきれない ノイズの影響で、正確な変換値が得られない。 ノイズを除去する平滑コンデンサーや平均化ソフトウェアで、ノイズの影響を小さくする。

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