シングルペアイーサネット解説! 従来規格との違いとは?:知っておきたいSPE(4/4 ページ)
今回はシングルペアイーサネット(SPE)の特長や規格、適用事例などを紹介します。
7. SPEの普及に向けたロードマップ
ここからはSPEの普及に向けたロードマップを解説します。
2025年から2030年までの展開予測
SPEの普及予測について、コンソーシアムではロードマップを作成しています。
2025年現在の時点で、自動車産業では多くのデバイスがすでに車内で使用されています。同年から先行型のプロジェクトが世界的に走り始めており、主に産業機器やビルオートメーションの分野で試験的な導入が行われています。
また、2026年3月末には大型の規格が決まる予定で、それに伴いLSIも大量に出荷され始めると予想されています。同時に、既存のイーサネットだけでなく、ビルやインフラで使用されている、すでに老朽化しているレガシーシステムのリプレースも始まると考えられています。
レガシーインフラの更新という大きな機会
実は、既存のイーサネット以前に、もっと大きな市場が存在します。ビル、鉄道、道路、電力制御など、さまざまな場所で使用されているレガシーインフラの更新です。これらの多くは1ペアのケーブルを使用しており、イーサネットよりも重要なインフラとして機能してきました。
下水道などのインフラが話題になることがありますが、通信インフラも同様に老朽化しています。これらのインフラを更新する際、SPE以外に汎用的なトランシーバーデバイスが現在ほとんど存在しません。従来のトランシーバーの多くはすでに製造終了となっており、会社自体が変わっていることもあります。SPEはこれらに代替できる有力な技術です。
屋外や過酷な環境下で使用されるインフラ基盤に最適
さらに重要なのは、SPE用のトランシーバーや周辺デバイスは全て自動車向けに開発されたものであるため、環境対応性が高いという点です。
イーサネットはもともとPCやサーバ用に開発されたため、動作温度範囲は0℃から70℃程度です。一方で、オートモーティブグレードでは-40℃から105℃まで対応しています。
このため、屋外や過酷な環境下で使用されるインフラ基盤に適しています。この環境耐性の高さが、産業用途やインフラ用途での採用を後押しすると考えられます。
2030年に向けた最終目標
最終的には2030年頃に発売されるスマートフォンなどにも実装されていく技術になると予測されています。USB Type-Cが急速に普及したように、SPEも同様の普及曲線を描く可能性があります。これにより、すべてのデバイスに組み込まれていく形になるでしょう。
8. まとめ
今後、SPEは、自動車産業以外にも産業機器やビルオートメーションなどさまざまな分野での普及が期待されている技術です。本記事では、今回、SPEの技術的な特徴から国際規格、具体的な適用事例や普及に向けたロードマップについて解説しました。
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