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超定番タイマーIC「555」の周波数直線性を改善するDesign Ideas アナログ機能回路(2/2 ページ)

今回の回路アイデアは、超定番タイマーIC「555」の周波数直線性を改善するものだ。

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デバイス内部に暗黙の時間遅延が存在

 実際に起きていることは単純で、明示されている121nsの外付けRC時定数に加えて、デバイス内部に次のような暗黙の時間遅延(Td)が存在しているのだ。

Td=1/3MHz−1/8.28MHz=333ns−121ns=212ns

 この212nsの内部遅延は、低周波から中程度の周波数ではデータシートの定番計算式を十分に正確なものにしているが、限界に近いマルチメガヘルツ領域まで性能を引き上げたいのであれば、無視できなくなる。従って、高周波で実用的な精度を持つFOO予測式は、次のような形になる。

FOO=1/(Vth Ct/Ic+Td)=1/(3.33v Ct/Ic+212ns)

 この式をプロットすると、図2の赤い右下がりの曲線が得られ、10mAで20%を超える誤差が生じる。本来なら1MHzになるはずが、実際には約800kHzにしかならない。これはかなり残念な結果だ。

<strong>図2:理想的な黒線に対し、赤の非線形曲線はLMC555の内部遅延による約20%の誤差を示す。縦軸は出力周波数、横軸は制御電流</strong>
図2:理想的な黒線に対し、赤の非線形曲線はLMC555の内部遅延による約20%の誤差を示す。縦軸は出力周波数、横軸は制御電流[クリックで拡大]

 幸い、この問題には対策があり、しかも驚くほど簡単だ。必要なのは、Dch(discharge)ピンとThr(threshold)ピンの間に抵抗Rlinを1つ追加するだけだ。これはThrピンをIcRlinに等しい電圧だけ上方にバイアスし、電流対周波数の関係を直線化する働きをする。これによって、のこぎり波状のタイミングランプの継続時間は次の分だけ短縮される。

T=IcRlin/(Ic/Ct)=RlinCt=Td

 これによって、555の内部遅延を打ち消すことができる。

 それゆえ、図3に示すようにRlinCt=TdとなるようRlinを選べば、図4に示す通り、制御電流の全範囲にわたって非直線性の補償は(少なくとも理論上は)完全になる。すなわち、下記となる。

FOO=1/(Vth Ct/Ic+212ns−Td)=1/(3.33vCt/Ic+212ns−212ns)=1/(3.33vCt/Ic)=Ic 1000MHz

<strong>図3:RlinCt=Td=212nsとした場合の、555の内部遅延に対する非直線性の補償</strong>
図3:RlinCt=Td=212nsとした場合の、555の内部遅延に対する非直線性の補償[クリックで拡大]
<strong>図4:Rlin=Td/Ct=212ns/300pF=706Ωとすれば、発振周波数の非線形性は解消される</strong>
図4:Rlin=Td/Ct=212ns/300pF=706Ωとすれば、発振周波数の非線形性は解消される[クリックで拡大]

 ……理論上は、こうなる。

 そこで疑問が生じる。この理論から実用的な成果を得られるのか、という点である。これについては近いうち詳しく述べたい。

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