AI機器で「クリアな音声」実現 5GHz対応の超小型ノイズフィルター:TDK MAFシリーズ
TDKは、5GHz帯の高周波領域でのノイズ対策を目的とした音声ライン用ノイズサプレッションフィルター「MAF0603GWYシリーズ」を発表した。AIグラスなどWi-Fi 5/Wi-Fi 6Eを使用する機器で、音質を損なわずノイズを低減できるという。
TDKは2026年4月7日、5GHz帯の高周波領域でのノイズ対策を目的とした音声ライン用ノイズサプレッションフィルター「MAF0603GWYシリーズ」を開発したと発表した。TDK大内工場(秋田県由利本荘市)で、月産2000万個(当初)を見込む。すでに量産を開始していて、サンプル価格は1個当たり25円(税抜)だ。
スマートフォンなどのオーディオ再生機能を有するモバイル機器では、音声信号が出力する高周波ノイズが内蔵アンテナに干渉する(自家中毒問題)とともに、アンテナから放射されるRF信号が音声ノイズの原因にもなる。ノイズ除去部品のチップビーズを音声ライン上に配置することで対策が可能だが、チップビーズ自体が音声信号に歪みを発生させる課題があった。
TDKの「MAFシリーズ」は、独自開発の低歪フェライト材によってノイズ除去特性を維持しつつ、音声歪みを低減した高音質ノイズサプレッションフィルターだ。無線帯域で高減衰特性を持ち、受信感度の改善に貢献するGタイプと、D級アンプの出力段に挿入することで高周波ノイズ除去に貢献するFタイプの2種類を展開する。
Wi-Fi 5/Wi-Fi 6Eのノイズ対策に貢献
MAF0603GWYは2.4G〜7GHzの高周波領域をターゲットにした製品で、新開発の高周波対応フェライト材の採用によって「インピーダンスは5GHzで最大3220Ωと、高周波領域では業界最高水準のノイズ減衰を実現した」(TDK担当者)という。ノイズ減衰量に比例して音声信号の損失も大きくなるため、ノイズ除去性能が高いモデルから、ノイズ除去性能を抑えた音質重視モデルまで計3種類を用意する。
「低歪ノイズフィルター製品は他社も展開しているが、5GHz帯をターゲットにしたモデルはこれが初めてだ。従来はチップビーズなど他のノイズ対策製品を組み合わせることで5GHzなどの高周波領域をカバーしていたが、本製品を使えば音質を損なわずにノイズ対策ができる」(TDK担当者)
MAFシリーズ最小の0201サイズ(0.6×0.3mm)で実装することも特徴で、完全ワイヤレスイヤフォンやスマートグラス、AIグラスなどでの使用を見込む。これらのアプリケーションは通話用やノイズキャンセル用などで複数のマイクを搭載する。マイクの音声ラインもノイズ対策が必要なうえ、+/−に加えGNDラインも有するため、マイク1つにつき3個のフィルターを搭載する必要がある。アプリケーション自体が小さいので、、小型サイズであることが重要だという。
「特にAIグラスなどのAI機能を搭載した機器は、音声で情報の入出力を行うため、マイクの音質が大事になる。新製品はWi-Fi 5/Wi-Fi 6Eの5GHz帯や6GHz帯を使用する機器のノイズ対策として最適といえる。将来的にBluetoothが帯域を拡張した場合も対応可能だ」(TDK担当者)
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