修理事例が示す安全部品の落とし穴――AC24V電源に潜むリスク:Wired, Weird(3/3 ページ)
半導体装置に使用される機器の安全部品ではAC24V電源が用いられてきたが、修理現場では電解コンデンサーの劣化に起因する不具合が目立っている。今回は、複数の修理事例を基に、その要因を整理し、安全回路における電源電圧の在り方を再考する。
非常停止リレーの修理事例、ここでもやはり……
追加だが、最近、非常停止リレーという安全部品の修理依頼があった。不良内容は『通電しても電源表示が点灯しない』というものだった。依頼された修理品の写真を図6に示す。
図6左は、非常停止リレーの外観(上面)で、右は応用例の説明図だ。電源を供給し、Reset操作を行うことで13-14端子および23-24端子が導通し、機器へ電源が供給される。E-Stopの非常停止操作によって機器の電源を遮断するラッチリレーだった。このリレーの内部を開けて不具合の原因を調べた。図7に示す。
図7左はリレーの基板を取り出したところだ。右は実装されている2個の電解コンデンサーの拡大図だ。このリレーはAC電源が供給されると、トランスで24Vの制御電源を生成して電解コンデンサーで整流し、直流電圧で2個のリレーを駆動する基板だった。電解コンデンサーを基板から外して特性を確認したところ、この電解コンデンサーの容量もほとんど残っていなかった。図8に示す。
図8左は電源を維持する電解コンデンサーだが、定格100uFに対し、実測値は1.3uFまで低下していた。2個の電解コンデンサーを交換して、AC電源を供給すると電源表示が点灯し、E-StopおよびReset操作で正常な動作ができた。非常停止リレーは機器の安全を確保する重要な部品だ。しかし内部に寿命部品があり、稼働時間が長くなると正常に動作できなくなって、部品の寿命で非常停止がかかってしまう危険性もある。やはり、安全部品の中に寿命がある部品を使うのは避けるべきだろう。
同じ非常停止リレーで、電解コンデンサーを交換しても動作しないものもあった。原因を調べたところ、電解コンデンサーから電解液が漏れて、すぐ下側に実装されていた10Ωの抵抗が断線していた。液漏れする電解コンデンサーは1990年頃の製品なので、30年ほどは正常に動作していた様だ。
安全性と寿命の向上に、DC24V採用の有効性
安全回路でAC24Vを使用すると、整流のために使用している電解コンデンサーが劣化して、動作できなくなってエラーが発生する。一応はフェイルセーフ設計になっていて、エラーが発生すると機器が停止するので安心だ。しかし安全回路にDC24Vを使用すれば、安全部品は容量が小さい固体のコンデンサーで十分なので、もっと長い寿命で使用できるだろう。
またAC24Vの電圧はトランスを使えば簡単にAC電源から生成できるので広く採用されてきたと考えられるが、装置内部には多数の安全センサーが使用されている。そして、これらの安全センサーには寿命部品の電解コンデンサーが使用されている。さらに、装置に使用される用力のAC電圧も、設置場所でAC電圧が少し違う。システム全体の安全性と寿命を考慮すると、安全回路の電源に安定化されていないAC24Vの電圧を使用することには再考の余地があると感じた。
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