TDKの車載PoC用インダクター 「業界最高」インダクタンス実現:フィルター実装面積を18%削減
TDKは、車載PoC(Power over Coaxial)用積層インダクター「MLJ1608WGC1R2MTD25」を開発したと発表した。インダクタンス値を高めたことで高周波で高インピーダンスを実現していて、広帯域に対応することからPoC用フィルターの部品数削減に寄与する。
TDKは2026年10月6日、車載PoC(Power over Coaxial)用積層インダクター「MLJ1608WGC1R2MTD25」を開発したと発表した。すでにTDKの大内工場(秋田県由利本荘市)で生産を開始していて、サンプル価格は1個当たり40円(税抜)だ。まずは月間1000万個の生産を予定する。
広帯域で高インピーダンス、フィルター部品数を削減
先進運転支援システム(ADAS)の発展などで、自動車でカメラを始めとするセンシング機器の搭載数が増加していて、それに伴う配線の増加が課題とされている。従来の伝送方式だと機器1つにつき電力用/信号用で2本のケーブルを接続する必要があるが、PoCは1本の同軸ケーブルで信号と電力を同時に伝送するため、配線数を減らし、車体重量の増加や設計の複雑化を抑えられる。
PoC伝送を用いる際は、電力と信号を分離するフィルター機能も必要だ。信号ライン側は直流をカットするコンデンサーを使うのに対し、電力ライン側は広帯域の信号流入を防ぐため、インダクターやチップビーズなど、周波数領域が異なる部品を複数組み合わせて使用する。この際、インピーダンスが低いと信号成分が電力ライン側に流れ、信号成分が減衰するため、高インピーダンス特性が求められる。
新製品は、独自の材料設計に加え薄層技術によって積層数を増やし、1.25μHのインダクタンス値を実現。「MLJ1608-Gシリーズの従来品(0.56μH)よりも高く、PoC向け積層インダクターとして業界最高のインダクタンス値だ」(TDK)という。
これにより、300M〜2GHzの高周波領域で高インピーダンスを実現するとともに、100M〜700MHz帯でも従来品と比べて1.7〜2倍の高インピーダンスを達成した。従来品からの置き換えでフィルター特性を向上できるほか、フィルターとして広帯域に対応できることから、従来よりも部品数を削減でき、コストとスペース削減に寄与する。「TDK製品でフィルターを組む場合だと、従来品使用時と比較して製品スペースを18.2%削減可能だ」(TDK)
パッケージは1608サイズ(1.6×0.8×0.8mm)で、定格電流は350mA、125℃の保証温度に対応。AEC-Q200にも準拠する。今後は定格電流を上げた製品や、より高周波に対応した製品の開発を検討している。
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