実用期迎える次世代パワー半導体SiC・GaNに注目、雑音対策の新提案も続々【7/19追加あり】:TECHNO-FRONTIER 2012 速報記事一覧
電源・モーター制御やEMC・ノイズ対策、各種センサーをはじめとする電子部品など、エレクトロニクス設計の要素技術が一堂に会する専門展示会「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」が2012年7月11〜13日に東京ビッグサイトで開催。ここでは、その速報記事を集約してお届けする。
「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」では、パワー半導体を手掛ける各社が次世代材料のSiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)を用いた素子やモジュールをこぞって展示した。これらの次世代パワー半導体は、素子単体やモジュールとしての製品化が進んでおり、白物家電から鉄道用インバータに至るまで、さまざまな分野の最終製品への搭載も始まっている。
ただし当面は、コストや実績で圧倒的な優位にあるSi(シリコン)ベースのパワー半導体が主流であり続けるだろう。そのSiパワー半導体も改善が続いており、今回はIGBTなどの新型品がお目見えした。
さらにTECHNO-FRONTIER 2012では、電源・モーター制御やEMC・ノイズ対策、各種センサーをはじめとする電子部品など、エレクトロニクス設計の要素技術で各社が新たな提案を示した他、環境発電や電気自動車(EV)といったエネルギー技術の新領域における取り組みが披露されていた。
ここでは、TECHNO-FRONTIER 2012の速報ニュース記事を集約してお届けする。
パワー半導体
三菱電機がSiCパワーモジュール外販へ、家電用と産業機器用の5品種を一挙出品
三菱電機のSiCパワーモジュールは、既に同社の一般消費者向けのエアコン「霧ヶ峰」や、鉄道車両用インバータに組み込まれて製品化されている。同社は次のステップとして、SiCモジュール自体を製品として外販すべく、家電向けと産業機器向けの合計5品種を開発し、7月31日から順次サンプル提供を開始する。
高耐圧もGaNで、IRジャパンが600VのGaN電源モジュールを展示
IRジャパンは、GaNパワー半導体を高耐圧の領域にも広げる。これまで30V品を製品化してきたが、今後、汎用電源に利用する600V品の開発を進める。
雑音対策
「DC-DCコンの出力リップルがぴたり鎮まる」、マイクレルが低雑音化技術を実演
マイクレル・セミコンダクタは、DC-DCコンバータの出力電圧のリップルを広帯域にわたって高い除去比で抑制するアクティブフィルタ技術を実演した。2月に発表した「Ripple-Blocker」と呼ぶ製品群を使ったデモである。
雑音対策が容易に、富士通セミがモバイルSoC向けDC-DCコンの新技術を参考出展
富士通セミコンダクターが開発した「FPWM」は、高速負荷応答を特徴とするコンパレータ制御方式を採用しつつ、クロックに完全同期して動作させるDC-DCコンバータ技術である。これまでカスタム品にのみ適用していたが、今後は汎用品に展開する。
村田製作所が雑音対策ソリューションを展示、環境発電技術の紹介も
村田製作所は、「TECHNO-FRONTIER 2012」で最新の雑音対策ソリューションや、エネルギーハーべスティング(環境発電)用の多様な発電デバイスを展示している。
電源設計
SiCの直流給電システム用など、ベルニクスが多様な電源製品を展示
ベルニクスはTECHNO-FRONTIER 2012に、SiCデバイスを使った直流給電システム用電源や、60A出力のデジタル制御POLコンバータモジュールなど新たに開発した電源製品を出品した。
バイコーが48Vを効率90%で1Vに電力変換、ソフトスイッチPOLも初披露
バイコーは、データセンター用マイクロプロセッサ向けに48Vの配電バスから直接、1Vの電源電圧を高効率で生成する電力コンバータを展示した他、ソフトスイッチング方式を採用し、最大98%と高い効率が得られる非絶縁型の降圧POLコンバータを初披露した。
人を検知してライトを当てる、東芝がLED照明システムのデモを披露
東芝 セミコンダクター&ストレージ社は、人のいる場所を検知してその方向にLED照明を向けたり、周囲の明るさを検知してLED照明を調光したりするシステムのデモンストレーションを行った。
タブレットでもサラウンドサウンドを楽しめる、日本TIがオーディオICなどを展示
日本TIは、マルチチャネルのスピーカでサラウンドサウンドを簡単に実現できるオーディオICなどを展示した。電源関連の製品については、2011年に買収が完了した旧ナショナル セミコンダクターのラインアップも含めた豊富な製品が並んだ。
エネルギー技術
日立ハイテクマテリアルズは、ドイツMicropeltの熱電発電素子とソリューションを展示した。Micropeltの素子はウエハーからの量産が可能であり、モニタリング用途などに適しているという。
ビル向け省エネセンサーの提供開始、加賀電子とアイテックが環境発電モジュールを展示
環境発電は、いかに発電量を増やすかという段階から、アプリケーションやソリューションを提供する段階に移ってきた。加賀電子とアイテックは、ビルの省エネ用途などに利用できる最終製品を多数見せた。
NFCマイコンでセキュリティを高める、ルネサスがワイヤレス受電ボードを展示
ルネサス エレクトロニクスが展示したワイヤレス充電システム向け受電ボードには、NFCマイコンが搭載されている。給電側と受電側との間でNFC認証を行うことにより、共鳴方式で電力をワイヤレス伝送する充電システムにおいて、より安全性を高めることができるとしている。
オムロンなど4社、微弱振動をエネルギー源に使うセンサーモジュールを実用化
オムロンなど4社は、「エレクトレット」と呼ぶ振動発電デバイスをエネルギー源に使う、センサーモジュールの販売を2012年8月に開始する。環境に存在する微弱な振動を、温度などをセンシングするエネルギー源に変えることができる。
まず試してみたい!に応える、TEDが環境発電用の評価キットを展示
東京エレクトロン デバイス(TED)は、複数のエネルギーハーべスティング(環境発電)用半導体チップや蓄電デバイスを一括して評価できるキットを開発した。2012年末までに提供を開始する予定である。
ニッケル水素電池を搭載した富士電機の無停電電源装置(UPS)「LXシリーズ」は、35℃の環境ならば4年間、25℃であれば8年間、電池の交換が不要になるという。
菊水電子工業は、電気自動車(EV)用急速充電器シリーズを披露した。同社にとってこの市場は新規参入になるが、「強みは、リップルが少ないきれいな直流電流を出力できること」だと主張する。
STマイクロ、スマートメーターの普及に向けて電力線通信用SoCを展示
STマイクロエレクトロニクスは、スマートメーターと電力会社の間で通信する際に利用される電力線通信向けSoCなど、“省エネ”をテーマに製品を紹介した。
電子部品
アバゴが光学エンコーダの新品種を紹介、取り付け容易で高分解能
アバゴ・テクノロジーは「TECHNO-FRONTIER 2012」に、光学式や磁気式などさまざまなタイプのエンコーダを出品した。そのうちの1つのHEDR-5xxxシリーズは、現在開発中の光学式エンコーダである。同社従来品に比べて分解能を高めたことなどが特徴だ。
ルビコンと日本ケミコンは、耐圧が63Vの導電性高分子コンデンサを展示した。「導電性高分子コンデンサは、海外メーカーがかなり低価格で提供している。日本メーカーは、導電性高分子コンデンサの課題である耐圧で勝負するべきだ」と、ルビコンの担当者は語る。
ビシェイが「2012年の注目製品群」をずらり展示、600Vの超低オン抵抗MOSFETなど
ディスクリート半導体と受動部品を手掛けるビシェイは、4月に発表した「2012年の注目製品群」を数多く出品した。600V耐圧の超低オン抵抗MOSFETや、薄型の大電流インダクタの新型品などである。
テスト/計測
EMI対策と併せて温度・振動ストレステストを展示したアンリツ
アンリツは、EMI対策に役立つ計測機器をTECHNO-FRONTIER 2012に出展した。併せて、ストレス試験サービスについても展示していた。
再生エネ分野に役立つ測定器、東陽テクニカがシミュレータと併せて展示
再生可能エネルギーを効率よく利用するには、不利な環境下でも効率よく動作し、劣化が生じにくい機器を作り上げる必要がある。東陽テクニカは太陽光発電システムや、蓄電池(二次電池)の開発に役立つ計測器やシミュレータを見せた。
「電池やキャパシタに最適」、電気化学用インピーダンスアナライザを日置電機が投入
日置電機は、各種電池やキャパシタの開発や出荷検査などに向けたインピーダンスアナライザを開発した。8月末までに発売する予定だ。インピーダンス測定の結果から等価回路パラメータを求める解析機能を備えており、電気化学部品の専用モデルも4種類用意した。
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