KGD
KGDとは、ICパッケージに封止されていないベア・チップ(ベア・ダイ)の状態で、良品であることを保証されたもの。「Known Good Die」という英熟語の頭文字を取って作られた言葉である。
回路を作り込んだSiウェハーに対してプローブ・テストを実行した後に、チップを一つ一つ切り分ける。そして、各チップに対して検査(Inspection)を実行して不良品を取り除き、良品であることを保証して供給する。
超小型モジュールでは必須
半導体チップの多くは、ICパッケージに封止した状態で良品であることが保証されている。一般的な電子機器であれば、こうしたICパッケージ封止品で何の問題もない。しかし最近では、無線通信モジュールやMEMSセンサー搭載の測定モジュールなどの超小型用途が増加しており、実装面積を今まで以上に削減することが求められている。このため、複数のベア・チップを小型モジュールに実装したり、複数のベア・チップを一つのパッケージに収めたりする使い方が増えている。前者をマルチチップ・モジュール(MCM)、後者をSiP(System in Package)と呼ぶ。
こうした使い方で欠かせないのがKGDである。仮に、良品選別が行われていないベア・チップを採用すると、製造したモジュールやパッケージの歩留まりが大きく低下してしまうからだ。この結果、コストが大幅に上昇することになる。KGDを使えば、モジュールやパッケージの歩留まり低下を回避でき、コストの大幅上昇を防げる。
KGDとテスト・ダイ
現在、テキサス・インスツルメンツ(TI)社では、A-D/D-A変換器IC、マイコン、オペアンプIC、基準電圧源IC、降圧型DC-DCコンバータIC、LDOレギュレータIC、タイマーICなど、さまざまな品種でKGDを提供している。同社のKGDは、プローブ・テストにおいて、直流(DC)テストと交流(AC)テストの両方をデータシートに記述されている動作温度補償範囲にわたって実行する。つまり、一般的なICパッケージ封止品と同程度のテスト内容と、その結果に対する保証を実行しているわけだ。
さらに同社は、「テスト・ダイ(TD)」と呼ぶ形態でもベア・ダイを供給中だ(表1)。これは、KGDに比べてテスト内容を簡略化したもの。すなわち、25℃における直流(DC)テストだけを実行する。このため、KGDに比べれば信頼性が劣るものの、一般的な用途であれば問題なく使える。主なアプリケーションは、民生用電子機器やスマート・カード、電子玩具、センサー・モジュール、グリーティング・カードなどである。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
テキサス・インスツルメンツのベア・ダイ・ソリューション
提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.