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スルー・レートこれだけは知っておきたいアナログ用語

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スルー・レート

 スルー・レート(Slew Rate)とは、オペアンプなどの性能を示す基本特性の1つ。オペアンプの出力が、単位時間内に上昇、もしくは下降できる最大の電圧変化量のことである。単位には通常、V/μsが用いられる。この値が大きければ大きいほど、高速な入力信号に追従できることを示す。目安としては、数100V/μsを超えると高速なオペアンプだと言えるだろう。

1000V/μsを超える製品も

 一般に、立ち上がりが極めて速い矩形波に近い信号をオペアンプに入力すると、出力信号は台形波状に鈍ってしまう(図1)。正弦波を入力すれば三角波状に変形する。入力信号の変化に、オペアンプの内部回路が追従できないからだ。従って、入力信号が高速な場合、スルー・レートが低いオペアンプを使用すると、出力信号の再現性が悪化してしまうため注意が必要だ。

図1
図1 スルー・レートと出力電圧振幅との関係

 出力信号の再現性が悪化するということは、高周波成分の信号が通過できなくなることを意味する。この場合、疑問が生じるのが周波数帯域幅との関係だ。周波数帯域幅が低いオペアンプに高速な信号を入力すると、このケースでも出力信号は歪む。ただし、波形の歪み方は異なる。スルー・レートによる歪みは、入力信号の振幅を変化させると、歪みを受けた出力信号の形が変わってしまうが、周波数帯域幅の制限による歪みは、振幅を変えても形は変わらない。相似形を保ったまま変化する。

 なお、周波数帯域幅の広いオペアンプは、スルー・レートが高くなる傾向にある。しかし、周波数帯域幅とスルー・レートの間に比例関係が存在するわけではないので注意。位相補償回路や入力段の構成の影響も多大に受けるからである。

 ここで、スルー・レートが極めて高いオペアンプを紹介しよう。テキサス・インスツルメンツ(TI)の電流帰還型オペアンプである「THS3001」と「THS3201」である。THS3001のスルー・レートは6500V/μs、THS3201は6700V/μsと非常に高い。計測器や自動テスト装置(ATE)などで、高速なADコンバータを駆動したり、高速なDAコンバータのバッファとして使ったりする用途に最適だ。なお、周波数帯域幅についても、2製品とも大きい。THS3001は420MHz、THS3201に至っては1.8GHzである。




提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月31日

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