I2C
I2Cとは、電子機器の内部でICの間を接続する2線式の制御用バス仕様のこと(図1)。 Inter integrated circuitの略である。技術者の間では、「アイ・スクエア・シー」や「アイ・ツー・シー」と呼ばれている。
このバスを開発したのは、オランダのフィリップス・セミコンダクターズ社(現在のNXPセミコンダクターズ社)である。1980年代の前半に実用化された。現在では、さまざまな半導体メーカーが採用しており、機器内部でIC間接続のバス仕様として事実上の標準規格(デファクト・スタンダード)になっている。なお特許は2004年8月に失効しており、現在はロイヤリティーフリーで使用できる。
最新規格では5Mビット/秒に
2線式のバスは、一方がシリアル・データ信号伝送用のSDAで、もう一方がシリアル・クロック信号伝送用のSDLである。いずれも双方向伝送が可能で、電流源もしくはプルアップ抵抗を介してプラスの電源電圧に接続されている。バスがフリーの状態では、SDAとSDLとも「High(ハイ)」になる。出力段はオープンドレイン形式、もしくはオープンコレクタ形式である。
データ伝送速度は、モードによって異なる。「Standard-mode」では最大100Kビット/秒、「Fast-mode」では最大400Kビット/秒、「Fast-mode Plus(Fm+)」では最大1Mビット/秒、「High-speed-mode(Hs-mode)」では最大3.4Mビット/秒である。これらのモードでは、8ビット単位のシリアル双方向データ転送が可能だ。さらに高速な「Ultra-fast-mode」もあり、データ伝送速度は最大5Mビット/秒である。ただし、8ビット単位のシリアル単一方向データ転送に限定される。バスに接続できるスレーブ・デバイスの最大数は、バスの静電容量によって制限される。
I2Cから生まれたSMBus
I2Cの応用範囲は幅広い。民生機器や産業機器、車載機器などに使われるマイコンには、当たり前のように搭載されている。この他、DRAMやシリアルポート搭載の不揮発性メモリ、AD/DAコンバータ、液晶ドライバ、LEDドライバ、リアルタイム・クロック、温度センサなどでも使われている。
このほか、I2Cから派生したシリアル・インタフェース規格も少なくない。例えば、VESA(Video Electronics Standards Association)が規格化した、ディスプレイの固有情報を転送するDDC(Display Data Channel)や、パソコンのシステム管理で利用されるSMBus(System Management Bus)、パソコンの電力管理で使われるPMBus(Power Management Bus)などがある。
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アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日
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