SIMPLE SWITCHER
SIMPLE SWITCHERとは、テキサス・インスツルメンツ(TI)が製品化しているDC/DCコンバータIC関連製品のファミリ名のこと。
もともとは、ナショナル セミコンダクター社によって、1980年代に開発された製品/技術である。2011年にTIによってナショナル セミコンダクター社が買収されたため、その後はTIの製品ポートフォリオに加わった。
基本的な流れを作る
従来、DC/DCコンバータICは、高い変換効率が得られるものの、周辺回路設計が複雑で使い方が難しいというデメリットがあった。具体的には、外付け部品の点数が多く、その外付け部品の回路定数を決定するのが困難だったのだ。
特に困難だったのが、位相補償回路の設計である。DC/DCコンバータ回路には、出力電圧を安定化制御するフィードバック・ループが含まれている。このフィードバック・ループを安定動作させるには、位相補償回路を適切に設計する必要がある。しかし、その設計を行うには、フィードバック制御理論を熟知する必要があり、理論的に難易度が高かった。このため、ユーザーに当たる電子機器の設計者から敬遠されていた。
このデメリットを解決するために開発されたのがSIMPLE SWITCHERである。位相補償回路などの外付け部品をあらかじめDC/DCコンバータICの内部に取り込むことで、デメリットを解決した。高い変換効率が得られる上に、リニア・レギュレータICと同レベルの使い勝手で電子機器設計に生かせる。この点が評価されて、ヒット商品になった。
その後、SIMPLE SWITCHERと同じ設計思想のDC/DCコンバータICは、競合するアナログ半導体メーカーからも製品化されることとなり、大きな製品カテゴリを形成するに至る。SIMPLE SWITCHERは、DC/DCコンバータICの基本的な流れを作ったマイルストーン的な製品と言っても過言ではないだろう。
なお現在、SIMPLE SWITCHERは、大きく3つの製品群から構成されている(図1)。1つは、DC/DCコンバータ制御回路のほか、スイッチング素子(MOSFET)や外付け部品を集積した「レギュレータ」。2つめは、それに加えて、インダクタも1パッケージに収めた「モジュール」。3つめは、DC/DCコンバータ制御回路と外付け部品を集積した「コントローラ」である。スイッチング素子は外付けで用意する必要がある。
提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日
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