ホストCPUとTPMを安全、容易に接続するOSSスタック:インフィニオン TPM2.0ソフトウェアスタック
インフィニオンテクノロジーズは、「TPM2.0用オープンソースソフトウェアスタック」を発表した。新しいESAPIレイヤーを含むため、産業向けアプリケーションやネットワーク機器の組み込みシステムに、TPMを容易に実装できるようになる。
ホストCPUとTPM間を安全に接続する新レイヤー
インフィニオンテクノロジーズは2018年8月、「TPM2.0用オープンソースソフトウェアスタック」を発表した。標準技術を策定する業界団体Trusted Computing GroupのTSS ESAPIに準拠する、初のTPM用オープンソースミドルウェアとなる。産業向けアプリケーションやネットワーク機器の組み込みシステムに、TPMを容易に実装可能になる。
TPM2.0用オープンソースソフトウェアスタックは、ESAPIレイヤーを含んでいる。このレイヤーは、インテルのSAPIレイヤーを基に、同社が安全情報技術研究所に資金提供して開発したもので、TPMの実装と使用を簡素化するAPI機能を持つ。この新レイヤーにより、アプリケーションやホストCPUとTPMの間を安全かつ容易に接続できる。
また、同スタックは、OpenSSLに対応している。OpenSSLの暗号キーを安全に格納するキーストアとして導入すれば、SSL/TLSによって保護されているデバイス通信をさらに保護できる。これにより、セキュリティバグによる脆弱性からも暗号キーを守れる。
TPM2.0用オープンソースソフトウェアスタックとESAPIレイヤーは、導入をより進めるため、制約が最小限である二条項BSDライセンスの下で提供される。産業界と自動車業界を考慮して、ソースコードは業界標準言語を使用。連続統合試験と二人制による徹底的な検査プロセスを実施している。
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