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電力計の種類と選定ポイント電力計の基礎知識(1)(8/8 ページ)

電力を測るニーズの拡大にあわせて、さまざまなタイプの電力測定器が登場している。今回の記事では高性能、高機能が要求されるベンチトップ電力計に絞って基礎知識を解説していく。

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必要な周波数帯域を持つこと

 パワーエレクトロニクス機器に使われるパワー半導体のスイッチング速度が速くなってきているので、電力計に要求される周波数帯域は高まっている。高い周波数までの電力測定が必要な場合は、電力計の周波数特性を知ることが必要である。下図では周波数帯域が1MHzのパワーアナライザーの事例を示す。


図23:力率=1の時の周波数-電力確度の特性(WT3000E 横河計測)

 また、測定対象の力率が低い場合は、力率=0の時の周波数特性も知る必要がある。


図24:力率=0の時の周波数-電力確度の特性(WT3000E 横河計測)

 幅広い周波数帯域を必要とする電力測定の場合は、周波数帯域の異なる電力計で測定した場合、結果が異なることがあるので注意が必要である。

測定確度が十分なこと

 電力計で測定する対象の挙動が安定したものであれば、必要な測定精度は容易に決めることができる。しかし、測定対象の電圧/電流が大きく変動して測定中にレンジの変更ができない場合には、小さい電力でも必要な確度を得るために高い精度の電力計が必要となる。例えば、余熱機能を持ったコピー機の待機電力を測定する場合は、余熱のために大きな電力を消費する加熱時と、電子回路の待機状態だけの少ない消費電力を同じ電流レンジで測定しなければならない。そのため、正確な待機電力を測定する場合は、精度の高い電力計が必要となる。

ノイズ耐性、長期安定度がよいこと

 正確な電力測定をする場合は、外来ノイズによる影響を受けないことが必要である。特に、パワーエレクトロニクス機器を測定する場合はコモンモードノイズの影響を受けやすいので、電力計の同相信号除去比(CMRR)の仕様を、あらかじめ確認する必要がある。

計測トレーサビリティーが確立していること

 電力計は、規格試験や取引に必要な電力測定に使われるため、精度が保証された測定結果が要求される。信頼ある測定を行う場合は、定期的に国家標準とトレーサブルな標準器を使った校正を行う必要がある。

 電力計の利用を考慮すると、下記の点についても機種選定時に考慮しなければならない。

過去に利用実績があること

 最近の電力計は、多機能を実現するために多くのパラメーターを設定しなければならないなど、使いこなすための習熟に時間が必要になる。コンピュータで電力計を制御する場合は、機種ごとの制御コマンドの違いを修正する手間が掛かる場合もある。

 過去の測定結果との相関が重視される場合は、電力計の仕様や特性の違いで測定結果に差異が生じることがある。このような不安がある場合は、利用実績を優先して機種を選択するのが望ましい。

利用支援が充実していること

電力計を使う上での「技術的な問い合せ、校正、修理」が必要な時に、迅速に対応できる窓口があるメーカーの製品を選ぶのがよい。


転載元「TechEyesOnline」紹介

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