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FFTアナライザーの測定事例と校正FFTアナライザーの基礎知識(3)(5/5 ページ)

低周波信号の周波数成分を観測するFFTアナライザーについて解説する連載第3回。最終回となる今回は、「FFTアナライザーの測定事例」「FFTアナライザーの校正」について説明する。

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FFTアナライザーの校正

 FFTアナライザーは周波数、振幅、位相の精度が保証される必要があるため、信頼できる測定を行うには定期的な校正が必要となる。

 一般的なFFTアナライザーでは下記のような校正項目があり、結果は成績表に記される。

校正項目 条件
信号入力 DCオフセット電圧 無入力(50Ω終端)
ノイズ 無入力(50Ω終端)、最大入力帯域
チャンネル間の振幅差 複数の振幅、周波数点
チャンネル間の位相差 複数の振幅、周波数点
振幅フラットネス 複数の振幅、周波数点
アンチエリアジングフィルター効果 振幅固定、複数の周波数点
測定周波数確度 振幅固定、複数の周波数点
2次、3次高調波ひずみ 正弦波の大振幅、小振幅
プリアンプ内蔵型センサー駆動電流源(CCLD)の動作  
外部制御 外部トリガー動作  
外部サンプリング動作  
信号出力 信号出力のDCオフセット設定電圧 信号振幅ゼロ
信号出力の振幅設定電圧 正弦波、周波数固定で評価
信号出力の周波数フラットネス 正弦波、振幅固定で評価
スエプトサイン動作  
ランダム信号動作  
ピンクフィルター動作  
信号出力の全高調波歪 複数の周波数点
表1:FFTアナライザーの校正項目(代表例)

 FFTアナライザーをよく利用する自動車産業では国際的な取引が多い。そのため、国際規格のISO/IEC17025で定められた手順に従って、製品評価技術基盤機構(NITE)の認定センターが第三者として認定した校正事業者による校正が要求される場合がある。一般にこの校正のことをJCSS校正といっている。JCSS校正は一般校正と異なるため、校正された結果は「不確かさ」で表現される。「不確かさ」の考え方についてはNITEの認定センターから「不確かさの入門ガイド」という解説書が公開されている。

おわりに

 FFTアナライザーは振動や音響の測定では必須の測定器である。利用にはFFTアナライザーとセンサーの知識が必要となる。実際の測定ではセンサーの取付け方や測定結果の解釈など経験が必要となる場合があるので、FFTアナライザーのメーカーや輸入商社が主催するセミナーで知識を習得することが有効である。

 今回のFFTアナライザーの記事が振動や音響の測定の助けになることを願っている。


転載元「TechEyesOnline」紹介

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