確定性の高い次世代車載アーキテクチャ向けMCU:STマイクロ Stellar
STマイクロエレクトロニクスはボッシュと共同で、次世代の車載アーキテクチャに向けたMCU「Stellar」を開発した。複数のアプリケーションや仮想ECUが共存可能で、自動車の安全性と利便性の向上に貢献する。
STマイクロエレクトロニクスは2020年10月、ボッシュと共同で、次世代のコネクテッドカーの車載アーキテクチャに向けたマイクロコントローラー(マイコン)「Stellar」を開発したと発表した。1つのマイコンに複数のアプリケーションや仮想ECUが共存可能で、自動車の安全性と利便性の向上に貢献する。
確定性と仮想化を両立
Stellarには、複数のArm Cortex-R52コア、2段階のメモリ保護ユニットと低遅延の汎用割込みコントローラーを搭載し、自動車安全性レベルASIL-Dに対応する。また、仮想化を実現するハードウェア、QoS(サービス品質)の設定、ペリフェラルのファイアウォール機能も有する。効率的にソフトウェアを分離、区画化することで、異なるASILレベルにも同時に対応しつつ、複数のリアルタイムアプリケーションを高い信頼性で、確定的かつ個別に実行できる。
さらに、不揮発性相変化メモリ(PCM)を搭載することで、高速読み出しと単一ビットの書き変えを可能にした。FOTA(Firmware Over-The-Air)時のダウンタイムもなく、メモリの寿命期間も長い。動作温度は最高165℃で、車載用規格AEC-Q100 Grade 0に準拠する。
既に3000個以上のサンプルを顧客に提供し、車両で1年間作動していることを確認済みだ。複雑化する次世代のドメインおよびゾーンアーキテクチャ、通信に対するニーズに応える。
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