宇宙環境向け耐放射線プラスチックパッケージIC:ルネサス ISL73033SLHMなど
ルネサス エレクトロニクスは、小型、軽量、低コストの耐放射線プラスチックパッケージの製品4種を発表した。中高度地球軌道や静止軌道の衛星、小型衛星、高密度電子機器の電源管理システムでの利用を見込む。
ルネサス エレクトロニクスは2021年7月、衛星の電源管理システム用に、耐放射線プラスチックパッケージを採用した製品4種を発表した。耐放射線性の特性レベルを確保しつつ、小型、軽量、低コストという特徴を生かして、中高度地球軌道(MEO)や静止軌道(GEO)上の衛星、小型衛星、高密度電子機器での利用を見込む。
ドライバ内蔵GaN FET、デジタルアイソレーター、降圧レギュレーターを開発
新製品は、ローサイドドライバ内蔵100V GaN FET「ISL73033SLHM」、デジタルアイソレーター「ISL71610SLHM」「ISL71710SLHM」、ポイントオブロード(POL)降圧レギュレーター「ISL71001SLHM/SEHM」の4種となる。
ISL73033SLHMは、GaN FETドライバとGaN FETを1パッケージ化し、基板面積を削減。ドレインソース間の電圧は100V、電流は30A、オン抵抗は7.5mΩだ。内蔵ドライバは、4.5V安定化ゲート駆動電圧を備える。
ISL71610SLHMとISL71710SLHMは、巨大磁気抵抗(GMR)絶縁技術により、高い放射線耐性を備える。絶縁性能は2.5kVRMS、最大データレートはISL71610SLHMが100Mビット/秒、ISL71710SLHMが150Mビット/秒だ。同社の耐放射線CANバストランシーバーやRS-422トランシーバーと組み合わせれば、シリアル通信システムにも使用できる。
ISL71001SLHM/SEHMは、6A同期整流型POLレギュレーターで、95%と高いピーク効率を達成している。固定スイッチング周波数は1MHzで、可変出力電圧を備える。
新製品のICには、宇宙用品質規格QML-Vと同等レベルの生産テストを実施。全デバイスが放射線ロット保証テスト(RLAT)を受けている。低線量率(LDR)では最大75krad(Si)の総電離量(TID)、ISL71001SEHMは、高線量率(HDR)でTIDが最大100kradとしている。
既に、GaN FETのISL73033SLHMとアイソレーターISL71610SLHM、降圧レギュレーターISL71001SLHMは量産を開始した。アイソレーターISL71710SLHMは2021年9月、降圧レギュレーターISL71001SEHMは同年10〜12月の発売を予定している。
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