ミリ波用ビームフォーミングICと低ノイズアンプ:ルネサス F65xxファミリー、F692xファミリー
ルネサス エレクトロニクスは、衛星通信、レーダーシステム、フェーズドアレイ用途に向け、送信用アクティブビームフォーミングIC「F65xx」ファミリーと低ノイズアンプ「F692x」ファミリーを発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2020年3月、衛星通信(Satcom)、レーダーシステム、フェーズドアレイ用途に向け、送信用アクティブビームフォーミングIC「F65xx」ファミリーと低ノイズアンプ(LNA)「F692x」ファミリーを発表した。評価用キットと量産前サンプルは、同年4月から一部ユーザーへ供給を開始する。
Ku帯、Ka帯、CDLに対応する小型ICファミリー
F65xxは8チャンネルTxアクティブビームフォーミングICで、Ku帯(12G〜18GHz)向け「F6521」、Ka帯(26.5G〜40GHz)向け「F6522」、CDL(Common Data Link)向け「F6513」の3種類を用意する。2.3V単一電源を採用し、電源設計を簡素化している。消費電力は100mW/ch未満で、RF出力は10dBm/chを超える。ビーム更新時間は100ナノ秒未満。物理的サイズは2.2mm2/ch未満。
平面フェーズドアレイアンテナが求める省スペース性や、地上の衛星通信ターミナルが求めるEIRP(実効輻射電力)要件と放熱要件を同時に満たしつつ、高精度なビームパターンと偏光制御、迅速なビームステアリングを可能にする。
F692xはデュアルチャンネルLNAで、Ku帯向け「F6921」、Ka帯向け「F6922」、CDL向け「F6923」の3種類。消費電力は15〜20mW、ゲインは19dBだ。ゲインと位相が整合した2つのアイソレートRFチャンネルを50ΩシングルエンドRF入出力に収めており、アンテナシステム全体の消費電力とコスト削減に貢献する。
どちらもBGAパッケージを採用。従来のデバイスと同サイズにしたことで、大型の機械走査アンテナから軽量薄型のアクティブ電子走査アレイアンテナ(AESA)へのスムーズな移行を支援する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 人工衛星向けデュアル出力POLレギュレーター
ルネサス エレクトロニクスは、同期整流降圧スイッチングレギュレーターとLDOリニアレギュレーターを1チップに集積した「ISL70005SEH」を発表した。人工衛星搭載のFPGAやDDRメモリへの電力供給に用いる部品点数や消費電力を削減する。 - 5Gミリ波システム対応のRFデータコンバーター
アナログ・デバイセズは、4G LTEや5Gミリ波無線などのワイヤレス機器向けに、アナログ信号処理とデジタル信号処理を組み合わせた、ミックスドシグナルフロントエンドRFデータコンバータープラットフォーム「AD9081」「AD9082」を発表した。 - 耐放射線特性の高電圧大電流ドライバIC
ルネサス エレクトロニクスは、宇宙衛星用耐放射線パッケージの16チャンネルカレントドライバ「ISL72814SEH」を発売した。デコーダー、入力レベルシフタ、16のカレントドライバアレイを1つのモノリシックICに集積している。 - 耐放射線PWMコントローラーとFETドライバー
ルネサス エレクトロニクスは、プラスチックパッケージを採用した耐放射線PWMコントローラー「ISL71043M」と、窒化ガリウムFETドライバー「ISL71040M」を発表した。 - 小型衛星向け耐放射線デジタルアイソレーター
ルネサス エレクトロニクスは、地球低軌道の小型衛星向けに、耐放射線性能を持つデジタルアイソレーター2種を発売した。優れた絶縁保護性能と最大級のデータレートを備える。 - 高精度測位用ICを活用したGNSSモジュール
STマイクロエレクトロニクスは、高精度な測位用IC「Teseo III」を活用したGNSSモジュール「Teseo-LIV3F」を発表した。アプリケーション開発を簡略化するさまざまな機能を内蔵し、消費電力性能にも優れる。