なんの情報も得られない! 不可解な電源を抱えたX線コントロールユニットの修理【後編】:Wired, Weird(3/3 ページ)
前回に引き続き、基板検査装置に使用されている「X線コントロールユニット」の修理の様子を紹介する。
電源を切ると一瞬50Vに
図9はランプ電源の起動用フォトカプラだが、左側の出力にクラック(図9中に赤矢印で示したところ)が見えたので交換した。
交換時にはフォトカプラのコレクタにテストピンをハンダ付けした(図10の赤矢印で示したところ)。また図10の中央、基板上に矢印を記してある可変抵抗をの目盛りを中央の位置から2目盛り右に回し、電圧を33Vに調整した。赤いマークで確認できる。
なお電圧を33Vに調整した後、テスターを接続したまま電源を切ったらテスターの表示が一瞬だが50Vになった。TL494は電源を切ってもまだ動作して、直列に接続したコンデンサーの電圧を制御しており、入力の電圧が下がったら、生成電圧を上げていた。この電解コンデンサーを直列に接続したアップコンバーターの回路方式も、他の不具合を誘発しそうに思われた。
修理依頼主が指摘していた「フィラメントエラー」の原因は、ランプ電圧の低下と判断したが、X線のコントロールユニットのメーカーからはその後はなんの情報も得られなかった。故障していたファンを交換し、耐圧オーバーの電解コンデンサーを63Vへ交換して、基板上の懸念点はなくなった。このまま納品して、依頼先での動作結果を待つしかない。納品後に依頼先から連絡があり、『修理したX線のコントローラユニットは正常に動作している』と報告があった。
製造中止でもぜひ情報開示を
今回修理したX線のコントロールユニットは回路で疑問が多く電気的にも危ないユニットだった。おそらく修理したユニットは開発初期のもので、その後に設計変更が実施されていると思われる。
このX線のコントロールユニットを詳細に調査してハード上の不具合が見つかったので、このユニットを搭載する検査機の製造元にもこれらの情報を提供した。検査機メーカーの対応もX線のコントロールユニットのメーカーの対応と変わらなかった。あくまで、サポート停止で終わりにしたいようだ。
このX線の検査機は小型化されたICで特にハンダボールを使ったフィリップチップの実装後の検査には欠かせない機器だ。この機器を使っている多数の基板製造関連のユーザーにとっては、X線のコントロールユニットのサポート中止があっても、高価な測定機を廃棄することはできない。
製造中止してサポートしないなら、保守に必要なマニュアルや回路図をユーザーへ開示するのがメーカーの責務と考える。
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