電磁気学入門(10)フライバックトランスの設計:DC-DCコンバーター活用講座(53)(3/4 ページ)
電磁気学入門講座。今回は、フライバックトランスの設計について解説します。
最小巻き数やコア損失の算出
最小巻き数は、最大飽和磁束密度とコア面積から求められます。
出力電流は判明していますが、一次側電流は分かっていません。次のステップに進む前に、一次側巻き数の電流を算出しておく必要があります。そのためには、このトランスの効率nを知る必要があります。標準的な90%を使います。
EP10は、コア面積が11.30mm2(データシートより)で、このフェライトコア材料の最大磁束密度は100℃で360mTです。電流モードを使うので、最大磁束密度の値を使います。電圧モードでは、いくらかの余裕をもつ必要があるかもしれません。
最小巻き数は以下になります。
実用的ヒント
これは、絶対に必要な最小巻き数です。より大きな安全マージンが必要ならば、より多く巻くことが可能です。一般に10%増しが推奨されるので、この例では28ターンが妥当です。巻き線比が1:1であることから、二次側の巻き数も決まります。
1:1の巻き線比は最も簡単なものですが、例えば3:2といった異なる比率の場合は、例えば30:20のような、簡単に3と2で割れる巻き数が妥当です。
最大巻き数は、銅損とボビンの物理的スペースによって制限されます。続く作業は、コア損失の算出になります。
磁束の変化によるコア損失はコアの特性、リップル電流、巻き数(巻き数が多いと磁束変化が減少)に依存します。
有効断面積(Ae)は、メーカーのデータシートに基づいています。リップル電流は、一般に平均電流の30%が使われます。
式8はコアの全磁束変化を示しており、個別コアの損失を計算するにはこの半分の値(49mT)を使い、電磁気学入門(4)コアレス〜相互インダクタンス損失と渦電流損失で示したような、フェライト材料メーカーのコア損失表を参照する必要があります。表から、120kHzおよび49mT時の相対的コア損失が10kW/m3前後であることが分かり、EP10のコア体積217mm3で、このコアの損失を計算した結果を示します。
動作周波数が低いので、コア損失は2mW前後と小さな値です。例えば、動作周波数が200kHzだとしたら、コア損失は60mWに増加します。
動作周波数とコア損失の関係は、多くの場合、メーカーのデータシートに示されています。
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