仮想開発環境を採用したSDV開発向けプラットフォーム:ルネサス R-Car Open Access
ルネサス エレクトロニクスは、SDV開発向けプラットフォーム「R-Car Open Access」の提供を開始した。AWS対応のクラウドAI開発環境「AI Workbench」なども提供する。
ルネサス エレクトロニクスは2024年6月、SDV(ソフトウェア定義車両)開発向けのプラットフォーム「R-Car Open Access(RoX)」の提供開始を発表した。同社の車載用SoC(System on Chip)やマイクロコントローラー向けで、ADAS(先進運転支援システム)、IVI(車載インフォテインメント)などで共通して利用できる。
VPF(仮想開発環境)を採用していて、ハードウェアサンプルの入手前からソフトウェアの開発を始められる。また、AI(人工知能)開発に向けて「AI Workbench」も提供。クラウド上でモデルを検証して最適化し、VPFやルネサスのボードファーム上でAI(人工知能)アプリケーションをテストできる。
AI Workbench開発環境の一部として、AWSにも対応した。ルネサスのソフトウェア開発キット「R-Car SDK」をAWSクラウド環境でコンテナ化しているため、効率的に設計を改良して最適化できる。
2種のバージョンで提供
RoXでは、2種のバージョンを用意した。「RoX Whitebox」は、オープンで容易にアクセス可能なソフトウェアパッケージだ。Android Automotive OS、FreeRTOS、Xen、Linux、Zephyr RTOSといったロイヤリティーフリーのOSやハイパーバイザーと、アプリケーションごとに対応したリファレンスソフトウェアを含んでいる。
量産車向けの「RoX Licensed」は、Red Hat In-Vehicle Operating SystemやQNXといった商用ソフトウェアやAUTOSARに準拠したソフトウェア、組み込みプロセッサ向けのセーフティリアルタイムOS「SAFERTOS」をベースとした。STRADVISIONのADAS向けソフトウェアスタックや、IVI向けのHMI(ヒューマンマシンインタフェース)デザインソフトウェア「Candera CGI Studio」も利用できる。
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