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低ESRで実装面積33%縮小 セイコーインスツルの音叉型水晶振動子:パターン工程を最適化
セイコーインスツルは、1.0×0.8×0.32mmサイズの音叉型水晶振動子「SC-10S」を発表した。フォトリソグラフィー技術を用いて水晶ウエハー上に微細パターンを加工する工程を最適化し、小型化と加工精度を両立した。
セイコーインスツルは2025年12月、32.768kHzの音叉型水晶振動子「SC-10S」を発表した。サイズは1.0×0.8×0.32mmで、「同年11月時点で世界最小サイズ」(同社)になるという。サンプル出荷は同年12月、量産は2026年4月に開始する。
同製品では、フォトリソグラフィー技術を用いて水晶ウエハー上に微細パターンを加工する工程を最適化し、小型化と加工精度を両立した。同社従来品の「SC-12S」(1.2×1.0mm)と比べると、実装面積が33%縮小している。
小型振動子ではESR上昇が課題となるが、SC-10Sでは最大90kΩの低ESRを維持。従来と同等の発振特性を確保した。
耐衝撃性や周波数安定性を強化
衝撃や振動を受ける環境下でも、周波数変動を抑制できる設計を採用した。頂点温度は25±5℃で、負荷容量は4、6、7、9、12.5pFに対応する。動作温度範囲は−40〜+85℃で、保存温度範囲は−55〜+125℃だ。
主な用途として、スマートリングやスマートウォッチ、補聴器、スマートタグ、RTC用クロック周波数源、BluetoothやLPWA向け通信モジュール、各種マイコンのサブクロックなどを見込む。
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