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登場して30年だが見えぬ先行き? ADI「Blackfin」:マイクロプロセッサ懐古録(21)(4/4 ページ)

今回こそAnalog Devices(ADI)「Blackfin」の話。Intelとの共同開発で生まれたこのプロセッサは、ADIにおいて順調に製品群が拡充されたものの、ある時期を境に新製品の投入が(筆者の知る限り)止まっている。

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精力的にラインアップを拡大、改良版コアも登場

 この後ADIは精力的にBlackfinの製品ラインを拡充している。図10はやや古いロードマップであり、同社はBlackfin+という改良版のコアを開発し、これを搭載したADSP-BF700シリーズを2014年6月に発表している。


図10:Blackfinのロードマップ[クリックで拡大] 出所:ADI

 Blackfin+コアの構造が図11であり、大きくは変わらない(実際Blackfin+はBlackfinとの後方互換性が保たれている)が、特にALUが大幅に強化されているのが分かる。MACユニットは16bit×2→16bit×2+32bitに、ALUも40bit×2→40bit×2+72bitに強化されたほか、Control UnitにはBranch Predictionの機能が追加された。これを搭載したADSP-BF700シリーズはTSMCの65nmで製造され、動作周波数は最大400MHzほどながら、消費電力は0.25mW/MHz未満であり、コアそのものの消費電力は400MHzでも100mWに満たないほどだ。性能の割に圧倒的に低い消費電力というのがBlackfinシリーズの優位点であり、これはBlackfin+を搭載したADSP-BF700シリーズにもそのまま引き継がれた格好だ。


図11:Blackfin+コアの構造[クリックで拡大]

久しく新製品は出ていない

 そんなBlackfinシリーズであるが、筆者が把握している限り、このADSP-BF700シリーズを最後に新製品が出ていない。製品ラインは引き続き提供されているのだが、例えばADIのEngineerZoneを見ると、こんな質問が出ているあたり、「この先どうなるんだ?」という疑問を抱く人間もそこそこ居るのだろう(というかこの質問自体、もう9年も前の話だ)

 実際のところどうか?というと、ひょっとすると2010年代後半にはBlackfin+コアをベースにした製品ラインアップ拡充の計画とかが水面下では動いていたかもしれないが、2021年にMaxim Integratedを買収した事で同社のMCUラインアップを手に入れてしまい、アプリケーションプロセッサ(というか、高性能なコントローラー)用途はこれで済んでしまう。DSPという観点でも、固定浮動小数点演算のみというBlackfinは、最近のアプリケーションでは使いにくい。かといってBlackfinに浮動小数点演算対応を追加したら、恐らくBlackfinの省電力性が相当損なわれることになる。そもそもDSPだけで言うならSHARC+/SHARC-FXがあるから、固定小数点演算で済む用途向け、という今ではニッチな領域にBlackfinが残されているだけ、という気がする。

 まだ登場から30年に達していない、この連載の中で言えば比較的「若い」製品ではあるのだが、この先の大きな展開はあまり期待できなそう、というのがBlackfinである。

⇒「マイクロプロセッサ懐古録」連載バックナンバー一覧

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