アイ・ダイアグラム
アイ・ダイアグラムとは、デジタル伝送の信号波形を比較的長い期間サンプリングして取得し、それらを重ね合わせてグラフィカル表示したもの。重ね合わせることで得られる画像が、アイ(目)のように見えることからアイ・ダイアグラムと呼ばれる。アイ・パターンとも呼ばれることもある。
高速インターフェイスの伝送品質チェックに使われる
得られた画像の縦軸は電圧振幅で、横軸は時間である。電圧振幅にバラツキがある場合は、アイの最下部と最上部のラインが太く表示される。一方、時間軸方向のバラツキ、すなわちジッターが存在する場合は、上から下へ、もしくは下から上へ遷移するラインが太く表示されることになる。なお、アイが開いている部分(開口部)に、細いラインが表示されることがある。これは、送信部において、デジタル信号処理時に何らかのエラーが発生したためである。
このように、アイ・ダイアグラムを確認すれば、デジタル信号伝送の品質をチェックすることが可能だ。従来は、デジタル信号の電圧波形だけを見て、伝送品質を判断することが多かった。しかし、2000年代前半からは、アイ・ダイアグラムを判断基準にすることが当たり前に成っている。
伝送品質をチェックする際は、アイの開口部を見る。前述のように、電圧のバラツキやジッターが存在していればラインが太くなり、アイの開口部が狭くなる。従って、開口部が大きければ伝送品質は高く、開口部が狭ければ伝送品質が低いと言えるわけだ。
ただし、開口部が広い、狭いという判断だけでは、客観性に欠ける。そこで、USBやシリアルATA、DisplayPort、DVI、PCI Expressなどのシリアル・インターフェイス規格では、開口部の大きさを規定している。ひし形状、もしくは六角形状のマスクにラインが重ならなければ規格をクリアできる。いわゆる「マスク・テスト」と言われるものだ。
最近では、デジタル・オシロスコープに、各種のシリアル・インターフェイス規格に対応したマスク・テスト機能が搭載されており、実験室や開発現場で簡易的に試験できるようになっている。
シリアル・インターフェイスIC選択時の目安に
アイ・ダイアグラムは、シリアル・インターフェイスICを選択する際の目安にもなっている。このため半導体メーカーは、シリアル・インターフェイスICのデータシートやパンフレットなどにアイ・ダイアグラムを掲載し、伝送品質の高さをユーザーに訴えるのが一般的だ。
例えば、米テキサス・インスツルメンツ(TI)社が製品化する最新のUSB3.0対応ハブ・コントローラIC「TUSB8040」の新バージョンでも、アイ・ダイアグラムを使って伝送品質の高さを示している。実際のアイ・ダイアグラムは図1だ。アイの開口部は大きく開いており、ひし形のマスクに対して十分なマージンが確保されている。
テキサス・インスツルメンツのインターフェイス製品ラインナップ
提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日
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