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PSRR(電源電圧変動除去比)これだけは知っておきたいアナログ用語

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PSRR

 PSRR(Power Supply Rejection Ratio)とは、電源電圧変動除去比のこと。入力される電源に電源リップルがある場合に、その電源リップルを取除く能力である。オペアンプやA-D/D-Aコンバータ、リニア・レギュレータなどのアナログICの主要性能である。通常、単位はdB(デシベル)で、数字が大きいほど、その能力が高いと言える。

周波数依存性を持つ

 ここでリニア・レギュレータ(LDOレギュレータ)に絞って、PSRRを詳しく見ていこう。一般にLDOレギュレータは、前段に置いたスイッチング・レギュレータの後段で使うことが多い。いわゆる、「ポスト・レギュレータ」という使い方だ。LDOレギュレータは、出力電圧に含まれるリップルが小さい。つまり、PSRRが高い。しかし、変換効率は、入力電圧と出力電圧の差が大きいとかなり低くなる。一方のスイッチング・レギュレータは、高い変換効率が得られるものの、出力電圧に含まれるリップルは大きい。

 そこで、スイッチング・レギュレータとLDOレギュレータを組み合わせる。そうすることで、変換効率が高い上に、出力電圧に含まれるリップルが小さいDC-DCコンバータ回路が実現できるわけだ。RFやクロックなどのアナログ回路に電力を供給する用途で頻繁に使われている。

 ただし、この組み合わせを実現する際には、注意すべき点が一つある。それは、前段に置くスイッチング・レギュレータのスイッチング周波数だ。LDOレギュレータのPSRRには、周波数依存性がある。一般に、PSRRは周波数が高くなればなるほど低くなる傾向にある。従って、スイッチング周波数が高いスイッチング・レギュレータを採用する場合は、後段に置くLDOレギュレータのPSRRの周波数特性を特に注意しなければならない。

1MHzで50dBのPSRRを達成

 こうした問題に対処すべく、高い周波数領域におけるPSRRを高めたLDOレギュレータがすでに実用化されている。例えば、テキサス・インスツルメンツ社の「TPS7A4700」である。PSRRは100kHzにおいて68dBと高く、1MHzでも50dBと十分な値を確保している(図1)。例えば、スイッチング周波数が1MHzのスイッチング・レギュレータを前段においても、LDOレギュレータから発生する電源リップルを除去する能力を維持することが可能になる。


図1  PSRRが高いLDOレギュレータ
テキサス・インスツルメンツ社のLDOレギュレータである「TPS7A4700」や「TPS7A8101」のPSRRである。TPS7A4700では100kHzで68dB、1MHzで50dBのPSRRが得られる。

 なお、このLDOレギュレータは、出力電圧ノイズが10Hz〜100kHzにおいて4.67μVrms(5V出力時)と極めて低いという特長を兼ね備える。入力電圧範囲は3〜35Vで、出力電圧は1.4〜20.5V。最大出力電流は1A。ドロップアウト電圧(入出力電圧差)は1A出力時に307mV。出力電圧精度は±1.0%である。


テキサス・インスツルメンツの電源IC製品ラインナップ





提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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