悲鳴を上げて壊れたプリンタを修理【分解編】:Wired, Weird(2/2 ページ)
長年、愛用してきた多機能プリンタが先日、「キャー」という悲鳴のような音を出して、動かなくなってしまった。代替品が届くまでの間をしのごうと、修理に挑戦してみた。
丹念に観察しながら、プリンタを分解
まず、修理が可能かどうか判断するために、切れたタイミングベルトを細かく調べた。切れた箇所は1カ所だけだった。また、タイミングベルトの固定も1カ所しかなかった。ということは、切れたタイミングベルトを無理やり接続し、接続した部分を固定すれば、代わりのタイミングベルトがなくてもプリンタを直せる可能性があるということだ。
次は、プリンタをどうやって分解するかWebで調べた。PX-A620の分解に関する質問はWeb上に多数投稿されていたが、回答は見つからなかった。どうやら分解はかなり難しいようだ。プリンタの構造からするとスキャナー部を外せれば何とか分解できそうだ。スキャナー部の右側はネジ1個で簡単に外せたが、左側の取り外しがかなり難しい。左側には電気配線があるのでここを調べた。スキャナー左側の電気配線部の写真を図3に示す。
図3の中央下に置いたが、配線カバーを少し強めに引っ張ったら配線カバーが外せた。コネクター4個とフラットケーブルを外し、配線を広げたら、スキャナー部の下側に固定ネジ(赤丸)が見えた。このネジを外したらスキャナー部分が上側に取り出せた。
アクリルが欠けてしまった……
次は左側の黒いアクリルの操作パネルの取り外しだ。パネルの左側(外側)のロックを3カ所外したらパネルが浮いたので、少し持ち上げたらパネルが外せた。しかし操作パネルの内側(右側)にも2カ所の引っ掛けがあり、そのアクリル部分が欠けてしまった。外した後でパネルの取り付け構造をよく見たら、操作パネルを奥(後側)へ押せば簡単に外せる構造だった。パネルを外した写真を図4に示す。
図4で中間パネルの固定ネジ(赤丸)が5個見えた。この穴の奥にあるネジ5個と操作パネルのネジを外し、給紙部分のケースのロック構造を外したら、中間パネルを持ち上げて取り外すことができた。図5に示す。
図5の中央右の四角の黒い箱は4個のインクが内蔵されたインクジェット部だ。インクジェット部の下にある金具を外せば、目標のタイミングベルトに近づけるだろう。図6に示す(なおこの写真はタイミングベルトを接続した後の写真だ)。
タイミングベルトはインクジェット部に固定されていた。またタイミングベルトは左右のローラーに引っ掛けてあった。左側のローラーにはモーターと連結された歯車があった。このモーターの歯車にタイミングベルトを引っ掛けてモーターを左右に回転させることで印刷する紙の上にインクジェット部を左右に移動させていた。これでプリンタの構造はほぼ把握できた。
苦戦した分解作業
ここまでの分解はプリンタの固定構造を確認しながらの作業だったので1時間以上がかかってしまった。やはり、修理には根気と観察が必要だ。操作パネルのカバーの内側のロックを壊してしまったが、外側に黒いテープを貼れば何とか固定できるだろう。プリンタの修理作業の続きは次回に報告する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 面白回路にも出会えた! 壊れた扇風機の制御回路を考察
15年ほど前に購入した扇風機がついに動かなくなった。そこで、回路や構造を勉強しようと分解することにした。すると思いがけず、ユニークな回路に出会うことができた。今回は、この壊れた扇風機の制御回路をじっくり考察していく。 - なんだこの設計は! メーカーの資質を疑う醜い回路設計
筆者は常々、良い品質の製品を作ることは、メーカーが生き残るための必要条件だと確信している。そうした中で、先日、修理依頼を受けた温調器は、目を覆うばかりの醜い設計が……。今回は、メーカーの資質が疑われるほどの悪設計だった温調器の修理の様子を紹介しよう。 - アイデア工具を使ったハンダ抜きテクニック
今回は、基板にダメージを与えずにハンダ抜き(ハンダ外し)を行うためのテクニックを紹介する。偶然見つけたアイデアツールなど、筆者が日頃の修理業務で使っているハンダ抜き工具も披露しよう。 - 電源修理のコツ ―― 発熱部品と空気の流れ
今回は、“電源修理のコツ”を紹介したい。電源は「電解コンデンサーを全て交換すれば、修理できる」という極端な話もあるが、効率よく確実に電源を修理するためのポイントを実例を挙げながら説明していこう。【訂正あり】 - パワー駆動回路にトッピング! シリアルオシレータの組み合わせ
筆者オリジナル回路「シリアルオシレータ」を2つ組み合わせることで、便利で面白い応用回路ができる。今回は、オフ時間の長いLED点滅回路、トランスの騒音を減らす回路という2つの回路を紹介する。 - 不良品でも諦めない! “安売りハロゲンセンサーライトのLED化改造”奮闘記
筆者は、ホームセンターで安売りされているハロゲンセンサーライトを手に入れ、光源をLED化する改造を試みた。しかし、LEDは点灯しない。不良品をつかまされた筆者は、改造して返品もできないセンサーライトの不具合原因を突き止め、LEDを点灯させる!