24時間365日稼働の半導体装置、電源のコイルが焼損した原因は:Wired, Weird(2/2 ページ)
修理を指導している友人から相談があった。『半導体用の装置に使用した電源ユニットのAC入力コイルが焼損している。その原因を知りたい』ということだった。
小型電源でも焼損事故の可能性、求められる保護設計
半導体製造向けの機器で煙が出るのはかなりまずい。こうした事態を防ぐには、コイルに温度ヒューズを取り付け、コイルが高温になった場合には電源を遮断する対策が必要だと考えられる。電源ユニットのハンダ面と部品面を図4に示す。
図4に示したこの電源は、一般的なRCC電源回路だった。今回の事例から、小型のスイッチング電源でもチョークコイルの焼損事故が起こり得ることが分かった。なお、家電製品の電源では、機器周辺のプラスチック繊維などのホコリやごみが機器内に入り込むことで、チョークコイルの高熱に引火し火災事故を引き起こす可能性がある。チョークコイルは高周波の電流が流れると、過熱して焼損する可能性がある。これを防止するためには電源の動作を止めるなどの設計が必要になる。特に、半導体向けの装置や周辺機器を設計する読者には、製品の歩留まりの低下や工場の焼損事故につながりかねない危険性があることを、強く認識して設計してほしい。
40年ほど前の話だが、筆者が半導体製造装置の仕事を始めた頃にRCC電源の焼損事故に出会った。半導体の工場で焼損事故や発煙事故が発生すれば、製品の歩留まりが低下し、装置メーカーは顧客の信頼を失ってしまう。筆者は全力で電源メーカーと協力して電源の改善に努め、出荷した製品の不具合対策を工場、サービスや営業が一体となって取り組み、FCN(Field Change Notice:出荷済み製品の改修通知)を実施して、何とか顧客の信頼を回復することができた。この当時の装置改善の記憶を記事に残している。読者にも改めて読んでほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ヒートガンで復活!と思いきや悲劇が……中華製オシロスコープの修理(2)
今回はオシロスコープの修理の続きだ。前回、オシロスコープのパネル表示が真っ黒だったので、液晶パネルのバックライトを強引に点灯させた。その結果、液晶パネルは破損しておらず、表示信号が届いていないことが分かった。オシロスコープのCPUが動作していない可能性が高い。
ジャンク品の中華製オシロスコープを修理する(1)
筆者が修理の技術を指導している友人が、難しいオシロスコープの修理に挑戦していた。今回はその修理の過程を報告する。修理していたオシロスコープは中国Hantekの「DS05062B」で、ヤフオクにジャンク品として出品されていたものだ。
30年前に関わった半導体用温調器、調査で判明した設計の盲点
修理を指導している友人から、技術支援の依頼があった。聞けば、筆者が30年ほど前、半導体製造装置の業務に従事していた時に関わった温調器に関する問題だったため、少し踏み込んで調べてみることにした。
電解コン液漏れの先に見えたもの――搬送機器のコントローラー修理【後編】
今回は搬送機器のコントローラーの調査と修理の続きだ。本命のCPU基板と不具合内容の『通信エラー』を調査して修理した。
「通信エラー」の原因を追う――搬送機器のコントローラーを修理【前編】
工場内でワーク搬送を担うコントロールユニットについて、通信エラーが発生するとの修理依頼を受けた。本機器は、センター装置から受信した情報を基に搬送機器と通信を行うコントローラーだ。今回は、珍しい搬送機器に関する調査および修理内容について報告する。
修理事例が示す安全部品の落とし穴――AC24V電源に潜むリスク
半導体装置に使用される機器の安全部品ではAC24V電源が用いられてきたが、修理現場では電解コンデンサーの劣化に起因する不具合が目立っている。今回は、複数の修理事例を基に、その要因を整理し、安全回路における電源電圧の在り方を再考する。
