知らない人は損をする!? インタポーザ「SE SP-01」を試してみた:ソリューションコラム第12回
アナログ・デバイセズ製の各種デバイスと、ルネサスエレクトロニクス製マイコンボードを簡単につなぐことができるようになるインターポーザボード「SE SP-01」。実際どれくらい簡単なのでしょうか。早速、SE SP-01を使ってシステムを組んでみましょう。
1.高性能なデバイスを使いたい
唐突ですが、皆さんは、マイコンに内蔵されているペリフェラル(周辺機能)では必要な仕様を満足できない場合や、そもそもマイコンにそうした機能が搭載されてない場合は、マイコンとは別に、必要な仕様を満足するデバイスの検討、採用されると思います。
そうした外付けデバイスの検討、選定作業に欠かせないのは、半導体メーカーが提供するデバイス評価ボードです。例えば、外付けでADコンバータを検討しようという場合、ADコンバータの動作や性能を評価したり、試作前からソフトウェアの作成を始める場合には、データシートやアプリケーション・ノートの情報だけでなく、実際に動かしながら作業をしたいですね。
しかし実際、評価ボードを入手して動かす時にハードルを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 半導体メーカーが提供する評価ボード単体での評価だけではなく、実際に“ADコンバータを接続する予定のマイコンとの組み合わせ”で評価したいですね。つまり「どうやって動かす」を考える時は、PC上で動作する専用の評価用ソフトウェアなどではなく、実際にマイコン上から動かして、最終製品に近い形で評価する方が望ましいと思います。
ADコンバータのサンプリングレートに見合ったソフトウェア/ファームウェアが作れるかどうか、コンバータとの通信方式はどれがベストかなど、マイコンと突き合わせないと判断が難しかったり、より多くの工数がかかってしまったりということがあります。
そこで! 皆さんはマイコン評価ボードから通信ラインを引き出してADコンバータの評価ボードまでつなげる場合、どうされていますか?
手配線の空中配線でつなげたり、その都度、ユニバーサル基板で冶具を作成されたりしているケース、意外に多いのではないでしょうか。空中配線だと持ち運んだりした時にはずれてしまうことがありますし、ユニバーサル基板でも配線間違いなどのデバッグ工数がかかりますね。
そんな煩わしさを解消するために今回紹介するのが、インターポーザボード「SE SP-01」です。
「SE SP-01」を使えばアナログ・デバイセズ製の各種デバイスと、ルネサスエレクトロニクス製マイコンボードを簡単につなぐことができるようになります。
実際どれくらい簡単なのでしょうか。早速、「SE SP-01」を使ってシステムを組んでみましょう。
2.評価環境を準備する
今回はET2013でデモ展示公開した振動(加速度)センサーとマイコンとの組み合わせを例に、評価環境構築の組み上げ過程をご紹介します。
必要な機材
振動センサーデモの組み立てでは、次のものを準備します。
A)ルネサスエレクトロニクス製評価ボード
Renesas Starter Kit+ for RX63N(以下、RSK+)
B)アナログ・デバイセズ製CFTL*)ボード
EVAL-CN0303-SDPZ(以下、CN0303)
CN0303はADXL001という加速度センサーを用いて振動検出アプリケーションの評価ボードです。
*)CFTL:Circuit From The Lab 実用回路集というアナログ・デバイセズ社のコンテンツ
C)SE SP-01
CN0303とRSK+をつなげるためのインターポーザボード SE SP-01
SE SP-01は、ソリューションコラム第7回や、第8回でも紹介しています。
D)デバッグ環境
ANALOG DISCOVERY(USBオシロスコープ&ジェネレータ)
デバッグ用に、波形などを確認するためのものです。なお、お手持ちのオシロスコープや信号発生器があれば、それで代用できます。
3.組み上げてみよう
SE SP-01にピンヘッダを付ける
ソリューションエッジのインターポーザボードです。ご覧の通り、半導体や抵抗といった素子は載っていません。アナログ・デバイセズとルネサス エレクトロニクスの評価ボードを簡単かつ、デバッグしやすく設計されています。今回はRSK+につなげますので、インターポーザボードに付属しているピンヘッダをCN1とCN2に立てます。ピンは基板の写真で見える反対側(裏側)に出るようにします。
CN12にも基板の上側にピンヘッダを立てるとオシロスコープなどでプローブするのに便利です。
評価基板を接続
ピンヘッダをハンダ付けしたら、CN0303とSE SP-01を接続します。双方の120pinコネクタがつながります。
ネジ止めして固定します。締めすぎると基板が反って破損の原因になるので注意
続いて、RSK+に接続します。RSK+のJA1とJA2コネクタにピンソケットをハンダ付けしてつなげると写真のようにRSK+の上部にインターポーザボードが接続されます。
加速度検出デバイスを接続
CN0303は、加速度センサー(ADXL001)基板(切手サイズ)と、そのアナログ出力を受けるADコンバータ基板が5線のフラット・ケーブルで接続される構成になっています。そのため写真のように加速度センサー(ADXL001)基板をCN0303のADコンバータ基板につなぎます(ピンの並びを逆さにつながないように注意)。
今回使っている加速度センサーADXL001は±70Gまで測定できる1軸の加速度センサーです(デバイスのラインアップでは±250G、±500Gがあります)。一般的に、加速度センサーにはHigh GのものとLow Gのものがあり、ADXL001はHigh Gの製品に属します。High Gの加速度センサーは、主に衝撃や振動といった物理量を検出するのに用いられます。ADXL001の出力は加速度に応じた電圧ということでアナログ出力です。そのため、先ほどケーブルで接続したADコンバータで、この電圧出力を受けてデジタルデータに変換し、マイコンに伝えます(アナログ・デバイセズではデジタル出力のデバイスもラインアップされています)。
ANALOG DISCOVERY(USBオシロスコープ)を接続
さきほどCN12にピンヘッダを立てましたが、それを活用して写真のようにオシロスコープのプローブをつないで、波形をモニタリングすることができるので便利です。デジタル波形(今回の場合はADコンバータとマイコン間のSPI通信)のモニタリングは、SE SP-01 CN12の7/9/13ピンにそれぞれ8/9/11端子を接続します。
もし、加速度センサーのアナログ出力をモニタリングする場合は、CN0303のVOUT端子にプロービングポイントがあります。
ルネサスエレクトロニクスのマイコン用JTAG ICE「E1」と電源回りをつなげばハードウェアのセットアップは完成です。
スッキリまとまった環境が、初めての方でも30分ほどで、簡単にできてしまいます。
一度、解体した後でも、慣れてくると再び組み立てるのに5分とかかりません。何度組み立て直しても、ノイズの発生もなく安定した測定値を得ることができます。
さて次回(2014年3月中旬公開予定)は、組み上げた評価環境を実際に動かしていきます。
お楽しみに!
提供:ルネサス エレクトロニクス株式会社 / アナログ・デバイセズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月31日
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