LEDの特性(3)熱に関する検討や温度ディレーティング:DC-DCコンバーター活用講座(38)(3/3 ページ)
前回に引き続きLEDの特性に関して説明していきます。今回は、熱に関する検討および温度ディレーティングなどに関して解説します。
アナログ温度センサーICを使用した過熱保護
出力の温度特性が線形のIC温度センサーが数多くあります。これらのセンサーはPTCサーミスターと比較してそれほど高価なものではなく、直線性とオフセットの精度が非常に高い上に、分解能1℃未満の温度モニタリングが可能だという利点があります。有効な制御信号電圧を生成するには出力を増幅する必要があるので、ほとんどの場合、これらのセンサーはオペアンプ段とともに使われます。
下に示す提案回路(図6)は一般的な温度センサーICとオペアンプを使用していますが、多くのメーカーが同様の製品を提供しています。この回路の出力が、RCDドライバシリーズのアナログ電圧調光入力に送られます。この制御入力が、ピン電圧に応じてLEDの輝度を線形に調光します。
下の回路では、周囲温度に応じて温度センサーが線形電圧を出力します。出力は10mV/℃+600mVとなるように事前較正されているので、55℃における出力電圧は1.15Vとなります。オペアンプ・ブロックには、2つの低消費電力オペアンプと高精度の200mV電圧リファレンスが含まれています。オフセット調整プリセットはオフセットが1.15Vに調整されており、ゲインは、100℃でLEDが公称電流の50%で動作するように設定されています。この回路の利点は、ディレーティング曲線のコーナーポイントを調整できるため、同じ設計で、異なるメーカーの別のLEDの特性に合わせて補正を行える点です。
マイクロコントローラーを使用した過熱保護
RCDシリーズで使用できるもう1つの調光入力がPWM入力です。パルス幅変調は、デジタル制御信号を使用し、目に見えないほどの高速でLEDをオン/オフすることによってLEDの輝度を変更します。オフ時間の方がオン時間より長ければLEDは暗くなり、オフ時間よりオン時間の方が長ければLEDは明るくなります。PWM入力はロジックレベル入力に応答するので、デジタルコントローラーとのインタフェースを取るには最適です。
温度をPWM信号に直接変換するICもありますが(例:一部のファンコントローラー、MAX6673、TMP05など)、いくつかの組み込みインテリジェンス機能では、通常、しきい値温度を設定してPWM信号をLEDのディレーティング曲線に整合させる必要があります。従って、多くの場合はマイクロコントローラーを使う方が簡単です。下に示す提案回路(図8)では、マイクロコントローラーを使用して、最大8個のLEDドライバのモニターと制御を行います。I/Oピンは6本しか使わないので、この回路は空きポートを使用して簡単に拡張が可能で、さらに多くのLEDドライバを制御したり、リモート過熱アラートを追加したりすることができます。
この例では、低消費電力温度センサーMAX6575L/H ICを使って温度を検出しています。3線インタフェースは、最大8個の温度センサーで共有できます。温度は、マイクロプロセッサから送出されるトリガパルスと、デバイスからレポートされたその後のパルス遅延の立ち下りエッジとの間の時間遅延を測定することによって検出されます。同じI/Oライン上の別のセンサーは、信号がオーバーラップするのを避けるために、異なるタイムアウト乗数を使用します。別メーカーの異なる温度センサーを使用しても、容易に同様の設計を行うことができます。例えば、TPM05をデイジーチェーンモードで使用することができます。
低消費電力の74HC259アドレス指定可能ラッチはリセットパルスでリセットでき、全てのLEDドライバをオンにします。マイクロプロセッサはこれに続いて適切な時間遅延後に各出力を個別に設定し、8個のPWM信号を生成して各LEDドライバを個別に制御することができます。
これとは別に、マイクロコントローラーがI2Cインタフェースを備えていれば、いくつかのプログラマブルPWMジェネレーターを使用することができます(例:PCA9635)。
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※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。
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