ハイブリッド車や電気自動車など、電動システムを搭載する自動車の市場拡大に合わせて、新たな車載リチウムイオン電池の開発が加速している。本稿ではまず、車載リチウムイオン電池の開発/供給に関する業界動向をまとめる。その上で、国内電機メーカーが車載リチウムイオン電池の性能向上のために行っている取り組みを紹介する。
『人とくるまのテクノロジー展 2011』が、2011年5月18日から20日までパシフィコ横浜で開催された。東北地方太平洋沖地震の影響により、来場者数は昨年より減少したものの、電気自動車やハイブリッド車関連を中心に、注目すべき新技術の展示が行われた。
「SCiB」電池セルを採用し、品種としては、EV向けに開発された容量20Ahのものが用いられている。東芝は、電池モジュールと電池パックの組み立ても担当する。
直列で接続された4個のLiイオン電池モジュール、走行モーター用インバータなどから構成されている。北米市場向けコンパクトカー「シビック」のハイブリッド車(HEV)モデルに採用したものだ。
展示されたインバータは「Gen 2.3」と名付けられている。すでに量産車に採用されている「Gen 2.0」と比べて、定格電流は約17%増の350Aとなり、容積は半減の約5リットルとなっている。
General Motors(GM)は2007年初頭に、「シボレー・ボルト」向けの電池セル供給元の候補として韓国LG Chemと米A123 Systemsを選定し、2年間かけて両社の査定を行ってきた。GMの長い歴史において最大規模となったボルトの開発計画の中で、最も注目されていた「コンテスト」である。
自動車メーカーはゼロエミッションの達成に向けて、排出ガスがない電気自動車の製品化に注力している。その中核となる部品の1つがリチウムイオン電池である。オートモーティブエナジーサプライ(以下、AESC)は、2007年4月に日産自動車とNECグループの折半出資会社として設立され、2008年5月に自動車向け高性能リチウムイオン電池の事業化を決定した。新会社は全自動の生産ラインを導入し、垂直立ち上げで需要の拡大に対応していく。AESCの社長を務める大塚政彦氏に、生産システムに対する考え方などを聞いた。
General Motorsのプラグインハイブリッド車「Chevrolet Volt(シボレー・ボルト)」を3日間かけて解剖し、その特徴である電力システムを分析した。その心臓部は288セルのLG Chem製リチウムイオン二次電池パック、頭脳はインバータモジュールに収められた日立製の制御ボードである。
電動自動車やデータセンターで使われているスタック型の蓄電システムでは、各セルの電圧を精密に測定しなければならない。この用途に用いられるのが電池監視ICである。中でも、車載向けの電池監視ICでは、システムの安全性や信頼性を高めるために、さまざまな要素技術を組み合わせることで高度な機能が実現されている。
電池セルの状態を常に監視する目的は、充放電状態をチェックするだけでなく、電池セルを劣化させる恐れのある状況を防ぎ、電池パックの長期使用を実現することだ。電池管理システム(BMS)回路を設計する場合、高電圧や活線挿入への対応を考慮しなければならない。場合によっては、100個の電池セルを直列接続した状態で、電圧の測定が必要となる可能性もあるからだ。
電池モジュールでは、複数の電池セルを直列に接続することで高い電圧を得る。この構成においては、特にセルの数が増えると、コモンモード電圧の存在が原因となって個々のセル電圧を計測するのが困難になる。本稿では、この課題を解決する新たな計測手法について詳細に解説する。
2年ほど前までは、リチウムイオン電池ではシステムの電力要件を満たせないケースも多かっただろう。しかし、リン酸鉄を正極として用いるリチウムイオン電池の登場により、状況は変化した。その実力は、設計者にリチウムイオン電池の採用について再検討を促すレベルにあると考えられる。
電池で駆動する機器を設計する際、リチウムイオン電池パックとしては、市販のものを利用するケースが多いだろう。しかし、機器自体の量産規模によって、あるいは独自に安全機能の充実を図りたいといった場合には、カスタム仕様の電池パックを設計することも選択肢となり得る。本稿では、その際に知っておくべき知識やノウハウについてまとめる。
展示されたECUは、リーフのリチウムイオン電池パックの状態を監視/制御するのに用いられている。1個のECUで、96個の電池セルの監視/制御を行うことが可能である。
プリウスαのLiBパックは、直列に接続した56個の電池セルから構成されている。展示された電池監視ユニットは、1個のユニットでこれらの電池セルの電圧をすべて監視できるように開発された。