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リチウムイオン電池の量産車採用が本格化人とくるまのテクノロジー展 2011(1/3 ページ)

『人とくるまのテクノロジー展 2011』が、2011年5月18日から20日までパシフィコ横浜で開催された。東北地方太平洋沖地震の影響により、来場者数は昨年より減少したものの、電気自動車やハイブリッド車関連を中心に、注目すべき新技術の展示が行われた。

» 2011年07月01日 00時02分 公開
[本誌編集部 取材班,Automotive Electronics]

EV/HEV/PHEVに熱い視線

 今年も注目を集めたのは、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)に関連した展示である。特に、自動車メーカーの展示からは、量産車へのリチウム(Li)イオン電池の採用が本格化していることが感じられた。


写真1「プリウスα」3列シート車のLiイオン電池パック 写真1 「プリウスα」3列シート車のLiイオン電池パック 直列に接続した56個の電池セルから構成されている。
写真2プリウスα3列シート車のカットモデル 写真2 プリウスα3列シート車のカットモデル Liイオン電池パックが運転席と助手席の間に設置されている。
写真3本田技研工業が開発中のPHEV 写真3 本田技研工業が開発中のPHEV 満充電からモーターだけで走行できる距離は25kmとなっている。
写真4「シビックハイブリッド」のLiイオン電池パック 写真4 「シビックハイブリッド」のLiイオン電池パック 電池パックの仕様は、電圧が144V、出力電力が20kW、体積が16l、重量が22kgである。
写真5三菱自動車の「MINICAB-MiEV」 写真5 三菱自動車の「MINICAB-MiEV」 荷室の容積や最大積載量は、ベースとした「ミニキャブバン」と同程度を確保している。
写真6GeneralMotors社の「ChevroletVolt」 写真6 GeneralMotors社の「ChevroletVolt」 
写真7日野自動車の新型HEVシステム 写真7 日野自動車の新型HEVシステム 2011年夏に発表される小型商用車に採用される予定。

 トヨタ自動車は、HEVミニバン「プリウスα」の3列シート車のカットモデルと、同車に搭載されたLiイオン電池パック(写真1)を公開した。プリウスαの2列シート車では、ベースとした「プリウス」と同様にニッケル水素電池パックを搭載していた。これに対して、3列シート車では、Liイオン電池パックを採用した上で、電池パックの設置位置を運転席と助手席の間に変更している(写真2)。

 本田技研工業は、PHEVの試作車(写真3)と、 2011年4月に北米市場で発売した「シビック ハイブリッド」のLiイオン電池パックを展示した。PHEVの試作車は、中型セダンの「インスパイア」をベースとしており、排気量2.0リットル(l)のエンジン、走行/回生用と発電用の2つのモーター、容量6kWhのLiイオン電池パックを搭載する。同社は、2013年までに、この試作車をベースにした PHEVを発売する予定である。

 シビック ハイブリッドのLiイオン電池パックは、直列に接続された4個のLiイオン電池モジュール(1個のモジュールには10個の電池セルが直列に接続されている)や、走行モーター用インバータなどから構成されている(写真4)。従来モデル(2006年発売)のニッケル水素電池パックと比べて、電圧は9%ほど小さいものの、出力電力が33%増、体積が36%減、重量が29%減となっている。

 三菱自動車は、小型商用車タイプのEV「MINICAB-MiEV」を紹介した(写真5)。 2008年夏から販売されているEV「i-MiEV」の電動システムが転用されている。Liイオン電池パックの容量が10.5kWhのモデルと16kWh のモデルがあり、前者は、政府の補助金制度を利用すれば約170万円で購入できる。2011年内に発売される予定だ。

 米General Motors社は、2010年末に北米市場で発売したPHEV「Chevrolet Volt」を披露した(写真6)。今回の展示が日本初公開であったことから、多くの来場者の目を引いた。今後は、国内市場での販売開始を目標に、公道での走行試験を実施する予定だ。

 日野自動車は、小型商用車向けの新型HEVシステムを公開した(写真7)。このHEVシステムでは、エンジンとモーターの間にクラッチを組み込むことにより、エンジンの動作とモーターの動作を分離できるようにしている。これにより、モーターだけで走行するEV走行の実現や、ブレーキ時の摩擦エネルギーを電力に変換して電池に貯める回生ブレーキの効率化が図れるようになる。同社は、「従来のHEVシステムと比べて、平均燃費を1.5倍に高めることができる」としている。

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