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DC-DCコンバータ

» 2010年04月12日 00時00分 公開
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DC-DCコンバータ

 DC-DCコンバータとは、電子機器に入力された直流電圧を、電子機器の内部で使う半導体チップや電子部品の動作に必要な電源電圧に変換する回路のこと。回路方式によって大きく二つに分類できる。一つは、リニア・レギュレータである。ただし、民生用電子機器や携帯型電子機器などの用途では、リニア・レギュレータの中でも、入出力電圧差が特に小さいLDO (Low Dropout)レギュレータが主流になっている。もう一つはスイッチング・レギュレータである。LDOレギュレータとスイッチング・レギュレータともメリットとデメリットがあり、用途によって使い分ける必要がある。

シンプルさが売りのLDOレギュレータ

 LDOレギュレータは、パワーMOSFETやパワー・トランジスタといったスイッチング素子のオン抵抗を利用して、入力電力を消費することで所望の出力電圧に変換する方式である。従って、出力電圧が入力電圧よりも低くなる変換方式である「降圧型」しか実現できない。

 デメリットは変換効率が低いことにある。特に、入力電圧と出力電圧の差が大きいと極めて低くなる。例えば、入力電圧が5V、出力電圧が1.8Vの場合、入力電流、出力電流が同じ1Aと仮定すると、変換効率η(出力電力/入力電力)は1.8/5.0=0.36、すなわち36%しか得られない。出力電流が大きければ、電力損失と発熱が膨大な量になってしまう。

 メリットは、回路構成がシンプルなため価格が安いことである。プリント基板上の実装面積も小さく、使い方も簡単だ。さらに、オン抵抗で電力を消費するという変換方式を採用しているため、ノイズの発生量が少ないこともメリットの一つである。

高効率が魅力のスイッチング方式

 スイッチング・レギュレータは、出力電圧を監視しながらスイッチング素子のオン/オフ時間を細かく制御することで、出力電圧を所望の値に変換する方式である。所望の値よりも出力電圧が高くなれば、スイッチング素子をオフにし、低くなればオンに切り替えるといった制御を行う。

 この回路の構成方法は二つある。一つは、制御回路とスイッチング素子を集積したICを使う方法。一般に、このICをスイッチング・レギュレータICと呼ぶ。もう一つは、制御回路を集積したICに外付けのスイッチング素子を組み合わせる方法である。このICをコントローラICと呼ぶ。

 構成方法にかかわらず、スイッチング・レギュレータのメリットは、変換効率が高い点にある。入力電圧と出力電圧の差や出力電流の大きさに依存するが80〜95%と高い効率が得られる。さらに、電力を蓄えられるインダクタを利用するため、「降圧型」のほか、出力電圧が入力電圧よりも高い変換方式である「昇圧型」や、出力電圧を入力電圧に比べて高い値にも低い値にも変換できる「昇降圧型」などにも対応可能だ。

 デメリットは、回路構成が複雑なため、LDOレギュレータに比べると価格が高い上に、設計が難しい点にある。さらに、スイッチング素子によって電力を切り刻むため、比較的大きなノイズが発生する。このデメリットがさらに設計を難しくする。

こう使い分けろ

 LDOレギュレータは、入力電圧と出力電圧の差が小さく、出力電流があまり大きくない用途に向く。具体的には、入出力電圧差は2V以下、出力電流は1〜1.5A以下が目安になるだろう。こうした条件が当てはまる用途であれば、価格が安いLDOレギュレータを採用した方が大きなメリットが得られる。このほか、微弱なセンサー信号を扱うアナログ・フロントエンド回路などに電力を供給する用途でも、ノイズの発生量が少ないLDOレギュレータが重宝するはずだ。

 一方、スイッチング・レギュレータが向く用途は以下の二つだ。一つは、携帯電話機やデジタル・カメラなど、電池駆動時間を重視する電子機器に載せる半導体チップに電力を供給する用途。変換効率が高いため、電池のエネルギーを無駄なく使える。もう一つは、FPGAやASICといった消費電流が大きな半導体チップに電力を供給する用途。LDOレギュレータでは、変換効率が低いため、発熱量が大きくなりすぎてしまう。


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アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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