リニア・レギュレータとは、DC-DCコンバータを実現する回路方式の一種。パワーMOSFETやパワー・トランジスタといったパワー・デバイス(パス・トランジスタ)のオン抵抗を利用して、入力電力を強制的に消費することで希望する出力電圧に変換する回路方式である。
さらに、細かく見るとリニア・レギュレータは、シリーズ方式とシャント方式の2つに分類できる。シリーズ方式は、負荷に対して、パス・トランジスタを直列に接続したものである。「3端子レギュレータ」や「ドロップ」と呼ばれることもある。一方、シャント方式は、負荷に対して、パス・トランジスタを並列に接続したものである。基準電圧源を実現する回路として使われることが多い。
リニア・レギュレータには、LDOレギュレータという品種が存在する。LDOとは、「Low Drop-Out」の略。シリーズ・レギュレータの中で、入力電圧と出力電圧の差が小さなDC-DC変換が可能な品種に付けられた名前である。なお、日本国内では「低ドロップアウト・レギュレータ」あるいは「低飽和型レギュレータ」と呼ばれることが多い。
現在、このLDOレギュレータは、非常に多くの半導体メーカーから製品化されており、さまざまな電子機器に採用されている。LDOレギュレータの最大のメリットは、回路構成が単純なため、低価格な上に使い方が比較的簡単で、プリント基板への実装面積が小さいことが挙げられる。価格は、搭載する機能や扱える電力量で異なるが、数百ミリアンペア以下の製品であれば、おおよそ数十円と安価だ。
出力電圧に含まれるリップル電圧成分が小さいこともメリットの1つである。入力の電力をパス・トランジスタのオン抵抗で消費させて所望の出力電圧に変換する回路方式を採用しているため、そもそも出力リップル電圧がほとんど発生しないからだ。このため、こうしたリップル電圧成分を嫌うアナログ回路には、スイッチング・レギュレータではなく、LDOレギュレータが積極的に採用されている。さらに、スイッチング・レギュレータの後段にLDOレギュレータを配置し、リップル電圧成分を取り除くポスト・レギュレータとして使用されるケースも少なくない。
一方で、デメリットもある。最大のデメリットは、変換効率が低いことだろう。特に、入力電圧と出力電圧の差が大きいと極めて低くなってしまう。例えば、5Vの入力電圧を、FPGAやASICなどに供給する1.2Vの電圧に変換する場合、入力電流と出力電流が同じ1Aと仮定すると、変換効率(出力電力/入力電力×100)は1.2W/5.0W=24%と求まる。極めて低い数字だ。変換効率が低いということは、発熱量が大きいことを意味する。この例であれば、5.0Wの76%分に相当する3.8Wの電力が熱に変換されることになる。電流量がもっと多ければ、発熱量はさらに増える。放熱対策が非常に厄介なものになってしまう。
テキサス・インスツルメンツのインタフェース製品ラインアップ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日
宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎:
第24回 割り込みっていろいろあるのですか?どんな種類があるか教えてください。
今回は、外部割り込み、内部割り込み、ソフトウェア割り込みについて詳しく解説しています
●全文を読む
電源IC選択のヒント集
電源IC 使用時の注意点をわかりやすく説明しているほか、使用時に発生する可能性のあるさまざまなトラブルとその対処法についても紹介しています。ぜひご利用ください。ダウンロードには myTI アカウントが必要です。
●Part 1をダウンロード
●Part 2をダウンロード
アナログ回路設計式一覧ポケット・ガイド
日本語版 PDF
英語版で高い評価を受けてきたポケット・ガイドの日本語版が完成しました。基板レベルやシステム・レベルの回路設計でよく使われるアナログ設計式を紹介しています。ダウンロードには myTI アカウントが必要です。
●ダウンロード